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ストリームの3PL事業 高品質武器に事業拡大、作業員のスキルや定着率も強みに 

2021年 7月29日 14:00

 家電ネット販売のストリームでは、通販企業の物流を一気通貫で請け負う3PL事業を強化している。

 同社では、さいたま市岩槻区に物流センターを構えており、3階全フロアと4階の一部を借りている。倉庫の広さは約9900平方メートル。家電を中心とした自社通販事業の商品のほか、子会社である「エックスワン」の化粧品、さらには3PL事業の顧客企業の商品を保管している。

 クライアントは現状化粧品メーカーや自転車メーカー、パソコンメーカー、ブランド品小売り等である。自社通販も含めて、通常時は1日3~4000件を出荷。仮想モールの大型セールなどにあわせて、作業員の人数を柔軟に調整している。

 当社のオリジナルサイトでは午後3時までの注文は、当日中の出荷が可能。アマゾンプライムや、ヤフーショッピングの「あすつく」、楽天市場の「あす楽」といった、注文当日の出荷にも対応している。

 利用している注文管理システム(ECパッケージや受注管理ツール、基幹システム等)と、倉庫管理システム(WMS)が連携できるよう、API等によるデータ連携環境を構築。また、各社固有のシステムに合わせたカスタマイズにも対応し、システムの自動連携を実現している。

 ストリームのECでは、冷蔵庫や洗濯機といった大型の白物家電を多数扱っているため、自転車のような大きめの商品でも多数の在庫を無理なく保管し、スムーズに出荷することができる。出荷は元日を除く364日体制。配送は全て佐川急便が行う。

 作業員は協力会社からの派遣だが、定着率が非常に高いのが特徴という。

 同社執行役員営業副本部長兼物流部部長の稲山昌二氏は「作業員のスキルが一定以上に保たれるし、教育する手間もかからない点が大きい。そもそも、倉庫内のオペレーション自体を非常にシンプルにしているし、働きやすい環境づくりを意識している」と話す。

 人為的ミスの発生を極力抑えるために工夫・配慮された倉庫や、受注データの自動化・省力化のためシステムにより個別に同梱物の設定ができることなど、ローコストオペレーションが可能なことが特徴だ。「商品を約束通りに出荷する。また、間違いないように入荷する。基本的なルールを徹底して守っていることが最大の特徴ではないか」(稲山執行役員)。

 現在のクライアントは、他社倉庫や自社倉庫からの乗り換えとなっている。「型番商品を長年扱っているので、同様の商材を扱っている企業は相性がいい。ローコストオペレーションを徹底している点や、EC企業として20年以上の歴史があり、長期間安定して出荷しているという実績に納得してくれるケースも多い」(同)。

 同社が運営し、仮想モール「楽天市場」に出店している「イーベスト」が、正午までの注文で翌日届く「あす楽」を積極活用したショップに贈られる「あす楽賞」を3年連続で受賞するなど、出荷・配送品質の高さには定評がある。

 これは、在庫管理がきちんとできている点が大きい。1万7000SKU扱っているが、棚卸しの際に差異が出たとしても数SKU程度という。「作業員の在庫管理に対する意識が非常に高い点が大きい。誤出荷もほぼなく、1カ月に1件発生するかどうか」(同)。

 同社によれば、7月に出された4回目となる緊急事態宣言以降、倉庫切り替えの相談が急増しているという。取り扱うジャンルは限定していないものの、雑貨や化粧品など、常温管理ができる型番商品を中心に扱っていることから、基本的にはこうした商材を扱う通販企業を中心に請け負っていく計画だ。

 同社では、品質の高い在庫管理とローコストオペレーションを武器として3PL事業を拡大し、将来的には会社の柱となる規模まで育てたい考えだ。
 
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