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「景品表示法検討会」報告書 違反行為の抑止強化、独禁法・特商法参考に対応を検討

2023年 1月19日 13:00

 消費者庁は1月13日、「景品表示法検討会」報告書をまとめた。違反行為に対する抑止力強化を念頭に、”繰り返し違反”に対する課徴金の割増し、刑事罰の活用を検討する。独占禁止法や特定商取引法の規定を参考に、法改正を視野に入れる。

 
 景表法改正を含む対応を、(1)不当表示の早期是正、悪質事業者に対する抑止力強化、(2)デジタル化・国際化の対応、(3)返金措置の推進による消費者利益の回復、(4)適格消費者団体(適格団体)等との連携の観点から整理した。

 違反行為に対する抑止力強化では、意図せず不当表示を行った事業者と、不当表示を認識しつつこれを行う悪質事業者への対応を想定した規定を新たに設ける。

 前者は、自主的な改善が望めることから、独禁法を参考に「確約手続」を導入する。現行の行政措置は、指導と措置命令・課徴金命令しかない。課徴金制度の導入で事件処理も長期化していることから、確約による表示の早期是正を図る。

 導入にあたっては、対象行為や返金措置の位置づけ、確約計画の公表、計画が履行されない場合の対応等についてガイドラインを策定する。

 悪質事業者への対応では、”繰り返し違反”に対する課徴金の割増しを検討する。通常の課徴金の算定率は、現行の3%で据え置く。また、「不当表示の差止め」「再発防止策」にとどまる命令について、その内容の工夫による対応、実質的な違反行為者である自然人を「事業者」と認定した処分、直罰規定の導入も検討する。

 特商法を参考にした業務停止命令、業務禁止命令は、「不当表示による顧客誘引の防止」という景表法の目的と整合性をとることが困難なため見送る。同法との連携により対処する。

 課徴金制度は、算定の基礎となる売上額の把握に時間を要することが、事件処理の長期化の一因となっていた。このため、売上額を合理的に推計する手法の整備を検討する。また、制度の一環として整備されている返金措置は、これまで利用がわずか4件にとどまる。電子マネーの活用を検討することで事業者の利用を促し、被害回復の充実を図る。

 適格団体の権限強化は、立証責任の転換について不実証広告規制と同様の権限付与は困難と結論づけた。

 一方、来年、施行予定の改正消費者契約法では、「相当な理由」がある際に契約解除に伴う損害額の算定根拠の説明を要請でき、事業者も要請に応じる努力義務が規定される(営業機密を除く)。これを参考に、差止請求権の行使にあたり、表示の根拠情報について「相当な理由」がある際に要請できるよう規定する。被害回復訴訟を念頭に特定適格消費者団体(特定適格)に景表法処分の作成書類を提供できる制度は見送る。

 国際化への対応では、措置命令について公示送達等の送達規定を整理する。これまでは課徴金命令のみ整備されていた。

 「買取りサービス」は運用基準を見直し、景表法による措置が行えるようにする。「消費者が保有する物品を鑑定等で現金に変える」という役務を供給していると判断できるよう解釈を整理する。

 中長期の課題は(1)「指定告示」などを含む課徴金の対象の拡大、(2)事業者に対するデジタル表示の保存義務、(3)アフィリエイターなど供給要件を満たさない者への規制対象の拡大、(4)国際的な議論状況等を踏まえた「ダークパターン」への対応を整理した。

 
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