ヤマトHD 共同輸配送手がける新会社、定期運行・混載で配送業務を効率化、安定的な輸送力確保へ
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ヤマトHDは5月21日付で100%子会社のSustainable Shared Transport(=サステナブルシェアードトランスポート=SST)を新設、独自に構築する共同輸配送のオープンプラットフォーム(OP)を活用して標準パレットで荷主企業の荷物を配送するサービスを提供する。
具体的にはヤマトグループを含む複数の配送事業者で地域間の幹線輸送および荷主からの集荷などを行う域内配送を行う共同輸配送体制を構築し、荷物の配送を依頼する荷主企業からの集荷配達の希望日時や場所などの出荷計画や荷姿、荷物量などの情報と同OPに登録する配送事業者の運行範囲や保有する配送車両の車格や積載可能量、運行計画などの情報をマッチングし適切な事業者が配送を担う。
OPによって輸送車の空き状況や荷物の情報が把握できることや標準パレットを用いることなどで配送業者は効率的に複数社の域内配送(集荷)を行うことができ、積載率や稼働率を高めることができる。また、幹線輸送でも従来のように荷主都合での運行ではなく定時運行を行い、かつセミトレーラーやダブル連結トラックなどの高積載車両を持つ事業者が輸送を担い、複数の荷主企業の荷物を混載することで効率的かつ安定的に輸配送をできるようにする。幹線輸送は中継拠点でドライバーを交代する仕組みとし、負担を軽減する仕組みとしている。なお、同OPの基盤システムは富士通と共同で構築する。
域内配送と幹線輸送を分けて行うことで、地場の配送事業者らは低積載や長時間労働を余儀なくされていた幹線輸送から離れ、OPを活用して域内配送に集中して効率化を図れる。また、幹線輸送を担う事業者も積載効率が低い個社ごとのチャーター便ではなく、OPで複数社の荷物を混載でき、また、地域間の行き返りともに荷物を輸送できることから効率が高まるという利点がある。
同仕組みを活用した輸配送は4月からヤマトグループ単独で荷主を限定してテストを開始しており、本格的にサービス提供を始める今冬までに複数の物流事業者に参加を呼びかけていく。本格サービス開始時点では幹線輸送便は東京・名古屋・大阪間で1日40線便を運行する予定。来年度末には1日80線便まで拡大していく。
SSTでは24年度中に第三者割当増資を予定。ヤマトグループだけでなく、物流事業者のほか、荷主企業など様々な事業者から出資を募り、公益性の高いOPを構築しつつ、様々な荷主企業や物流事業者の利用を促して事業拡大を目指すという。なお、荷主企業がSSTに出資した場合、同サービスの利用時に優遇措置があるか否かについては「未定だが、検討の余地はある」(同)としている。