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イーベイのQoo10 アパレル専用売り場拡大、900店舗突破、動画で“旬”を訴求

2024年 5月31日 12:00

 仮想モールの「Qoo10」を運営するイーベイジャパンでは、2022年4月にモール内にファッションブランドに特化した売り場として「MOVE」を開設し、既存の主力カテゴリーである「コスメ」との両輪で事業拡大を図っている。

 同売り場は、国内外の大手ファッションブランドの公式ショップを集めた形で始まったもの。当初は240社の出店からスタートしたが、現在は900社まで拡大。韓国ブランドが6割、日本ブランドが4割程度の比率で、購入金額ベースで見ると、日本ブランドの比率がやや高くなっている。近年はブランドイメージを重視するために、ファッション商材を扱う専門売り場だけを使って露出を図りたいと考えるニーズは多く、毎年、出店者数を伸ばしている。

 サービス名称があらわす通り、最大の特徴は静止画ではなく「動画」コンテンツで訴求ができること。動画は出店者が希望する商品の中から、同社が製作会社と連携してコーディネートや利用シーンを紹介する内容で作成。同社の撮影スタジオを活用しつつモデルなども起用し訴求力を高めたシナリオに仕上げるという。

 また、商品ページでは顧客のレビューも動画で投稿できるようになっており、中には出店者の公式動画よりも閲覧数が多く、購入につながるような人気のレビュー動画もあるようだ。

 動画訴求の利点としては、ページ内のエンターテイメント性を高めるということに加え、アパレル商品ならではの細部の表現を動き付きで伝えられる効果があること。「動画内のモデルが動くことでフィット感や生地感、丈の長さなどリアルに映し出してきちんと伝えることができる」(キム・テウンBO本部長)とした。

 そのほか、返品無料サービスも取り入れており、発送後の顧客都合の返品などについて、同社が送料を負担。返品回数の制限などはあるものの、顧客のアパレルEC購入に対する心理的なハードルを取り除き、出店者の物流作業にかかる負担も軽減させている。

ページ内の新鮮さを保つ仕組み

 もともと同モールでは、よく売れる人気商品を優先して露出しているため、ランキング上位以外の商品は顧客が能動的に検索することでしか辿り着かないケースも少なくなかったという。しかし、MOVEでは新規商品が優先的に検索結果に自動表示されるロジックを採用。「セール」の表記もほとんどないため、価格で誘導するわけではなく、また、その時々のシーズン行事や気候などに合わせた商材も上位に表示されるため、出店者側としては今見せたい旬の商品が露出できるようになり、いつでも新鮮な売り場を保つことにつながっているようだ。

動画コンテンツの拡充図る

 今後は、更なる出店者数の拡大を視野に入れる。背景には前述の動画コンテンツの数を増やしていくことが狙いにある。現在も、アプリ上で「TikTok(ティックトック)」のように、スクロールで次々と商品動画が入れ替わりで再生される機能を搭載しているが、そのコンテンツの量としてはまだまだ十分ではないと考えている。「今、ECの膨大な商品の中から自分で探して買いに来るのは限界がある。売り場側が次々と新しい商品を自動で提案していくような見せ方が望ましい。機能としてはすでに持っているので、そこを活かすのはこれからだ」(キムBO本部長)と説明。

 現状、MOVE内の商品で、動画コンテンツ化した割合はまだ10%程度だが、まずはこれを50%まで引き上げていく。加えて、出店者数も今年中に1500社、来年には3000社まで増やしていくことを目指す。

 今後は、顧客を招いたイベントも開催して、レビュー動画などを同社のスタジオから配信することも検討。「顧客がもっとMOVEを体験してくれるようにしていくことが最大の目標。コンテンツの積み上げを図ることで、他モールとは差別化された『ECプラスアルファの購買体験』を提供することができる」(同)とした。

 
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