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オイシックスドット大地 らでぃっしゅぼーやを子会社化 NTTドコモと資本業務提携、再編進む市場で競争力向上

2018年 2月 1日 10:09

 オイシックスドット大地は1月30日、食品宅配を行うらでぃっしゅぼーやを子会社化すると発表した。NTTドコモとの資本業務提携に伴い、同社傘下のらでぃっしゅぼーやの全株式を10億円で取得する。商品の調達や購買、マーケティング面で連携を強化し収益の改善を目指す。らでぃっしゅぼーや取得後のオイシックスドット大地のグループ売上規模は550億円以上となり、再編がすすむ食品宅配市場での競争力を高めていく。

 オイシックスドット大地によるらでぃっしゅぼーやの子会社化は、ドコモとの資本業務提携に伴うもの。らでぃっしゅぼーやの買収は2月中を予定し、子会社化後の3月1日以降にオイシックスドット大地の高島社長が、らでぃっしゅぼーや社長を兼務する。

 らでぃっしゅぼーやはオイシックスドット大地の子会社として、ブランドを継続する。オイシックスドット大地は大地を守る会と昨年10月1日に経営統合したが、これに先駆けて昨年3月に大地を守る会との株式交換を行い、大地を守る会を子会社化していた。らでぃっしゅぼーやについては「当面は子会社として継続する。それ以降は未定」(オイシックスドット大地)と説明した。

 今後、オイシックスドット大地はらでぃっしゅぼーやとの人材交流を積極化するほか、調達や購買、マーケティングなどでの連携を強化し、らでぃっしゅぼーやの来期以降の黒字化を目指す。らでぃっしゅぼーやの今期(18年2月期)売上高は約190億円を見込み、前期の197億8600万円から減収を予想する。営業損失は5億円(前期は1500万円の利益)となる見通しで、収益性の改善が課題だった。

 らでぃっしゅぼーやの取得は、ドコモとの資本提携に向けた協議の中で検討。オイシックスドット大地は、事業内容や企業文化に親和性があったことから、相乗効果が期待できると判断。「規模の拡大で食品宅配市場全体の成長が見込める」(オイシックスドット大地)とし、子会社化に踏み切ったよう。

 一方、ドコモは、オイシックスドット大地への譲渡で、らでぃっしゅぼーやの経営の効率化が図れると判断。「規模の拡大で、ミールキットや低農薬野菜の分野における市場の活性化につながる」(ドコモ)と説明している。

 なお、らでぃっしゅぼーやはオイシックスドット大地の傘下入りに伴い、ドコモ店頭専用の頒布会「らでぃっしゅセレクション」について2月末で終了する。ドコモのポイントサービス「dポイント」の交換商品としての商品供給や、ドコモグループのABCクッキングスタジオへの食材の卸販売の継続は未定。

ドコモとミールキット専門EC

 オイシックスドット大地とドコモとの提携については、まず2月中に、ドコモを引き受け先とする第三者割当増資を行い、ドコモから6億円の出資を受ける。なお、ドコモの同社への出資比率は3%となる。6月中に、ドコモが社外取締役1人をオイシックスドット大地に派遣するという。

 両社は年内をメドに、食材とレシピをセットにしたミールキットの専門通販サイトを開設する。ドコモが主体となって展開するもので、オイシックスドット大地がシステム構築や商品供給などを手掛ける。らでぃっしゅぼーやの取得によってオイシックスドット大地が保有する生産者ネットワークは従来の2700人から5100人に拡大するため、ドコモと農業領域における協業も検討していく。これまでに農業IT技術への投資やヤマト運輸との連携による農作物の物流網の構築、農作物規格の取得支援などを行い、商品調達における課題の解消を目指していた。

 オイシックスドット大地は調達した6億円で、ミールキット専門の通販サイト立ち上げに伴うシステム投資を行うほか、ミールキットの製造工場の設備投資に充てる。

 オイシックスドット大地は、今期売上高は380億円を計画しており、らでぃっしゅぼーやの子会社化に伴ってグループの売り上げ規模は550億円以上に拡大する見込み。生鮮の食品宅配市場を巡ってはアマゾンが取り組みを本格化したほか、アスクルの「ロハコ」がセブン&アイと事業を展開。また、1月26日に楽天とウォルマートが提携するなど大手による再編がすすむ。大手小売りに対し、規模の拡大による効率化や商品供給の安定化などを図り競争力を高めていくようだ。

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