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【ジオシス・プライベート・リミテッド Qoo10新体制の現状と今後㊦】 新規出店の拡大路線へ、認知度向上へマーケティング強化

2018年 6月21日 10:01

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 前号に引き続き、今年5月に米eBay(イーベイ)に買収されたジオシス・プライベート・リミテッド(旧・ジオシス)が運営する仮想モールのQoo10について、新たに戦略担当本部長に就任した滋炫具(写真=ジャヒョン・グ)氏に、今後の運営方針や日本のEC市場の展望などについて話を聞いた。

                    ◇

 ――日本のEC市場では楽天市場やアマゾンなど、既存の大手仮想モールが大きく先行している。対抗に向けては。

 「彼らと同じ戦略では無理だと思う。我々だけができるところ、今はまだシェアが小さいからこそできるようなところに集中していきたい。小さいだけに伸びしろは十分にあると考えている。

 特に我々の場合、韓国やアメリカにもプラットフォームがあり、Qoo10の取引高の数十%はすでに海外からのものとなっている。この割合は同業他社に比べても非常に高い数値だと思う」

 ――モールのレイアウトやUIなどを大きく変える予定は。

 「Qoo10はグローバルな会社で、プラットフォーム(の作り)について日本に十分なローカライズができていない部分もあったと思う。今後はUIやユーザーエクスペリエンスを日本の顧客視点に合わせた仕組みにする作業も必要になるだろう」

 ――今後、出店者に向けた施策でテコ入れしていく内容とは。

 「イーベイのブランドもありマーケティングも強化を図っていく中で、より大きい規模の企業の出店開拓を狙っていきたい。まず内部では営業部隊の組織を変えていく可能性がある。今までは既存の出店者の販売をどう伸ばすかにフォーカスしていたが、今後は『拡大』をキーワードに新規出店者を広げることに注力していく。

 また、これまではQoo10のブランドマーケティングはほとんど行っておらず、利用者以外の認知度が低かった。これからは積極的に行っていきたい」

 ――ブランド認知はどのような形で広げていくのか。

 「具体的な内容についてはまだ決まっていないが、例えば現在の韓国の『Gマーケット』では、K―POPの中でも特に人気の高い男性グループなどを起用してテレビやネットを通じた規模の大きなマーケティングを行っている。日本で同じ内容になるかは分からないが、ブランディングに力を入れないと新しい顧客を開拓することは難しいという認識がある」

 ――そのほか、組織構成などで変わっていく点などはあるか。

 「人数も社員も今年は大きく変わらないと思う。開発などにいるスタッフが増える可能性はあるが、そのほかのメンバーの数などは現状の日本にいるスタッフたちで行くと思う。とにかく今あるメリットをどう生かしていくかを最優先で考える時期なので、具体的なビジョンや目標などは来年以降に明確にできるだろう。方向性として『営業の拡大』と『マーケティングの強化』の2つが大きな柱となることは間違いない」(おわり)


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