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【ヒラキの伊原英二会長に聞く 今期の靴販売事業の戦略は】 小型店舗でニーズ分析、関西で新規10店舗を計画

2019年 5月23日 13:25

 靴の企画・販売などを手がけているヒラキは6月27日付で、向畑社長が辞任し、伊原英二会長が新たに社長を兼務する。減収減益となった前期業績の立て直しに向けて、今期に拡充する小型のアンテナショップを通じた消費者ニーズの洗い出しなどについて6月より社長を兼務する伊原会長に詳しい話を聞いた。

 ――現状の靴通販市場をどう見ているか。

 「波があると思う。前期はおしなべて(市場全体で)どこもよいところがなく、7掛け8掛けのところも多かったと思う。これまではその理由について仮説を立てて課題をつぶしていき、また波を迎えるというのが過去からの教訓ではあった。今回は(商品構成で)靴のウェートも高まっている中で、もう一度真剣に見直さないといけない」

 ――具体的には。

 「今期はアンテナショップを作ってドミナント形式でやっていくということ。自社開発商品を中心とした小商圏都市型モデルの靴専門店舗を3年前に試験的に出して運営しているが、収益が確保できるめどがたった。現状は60坪(180平方メートル)のスペースでやっているが、従業員1人で運営して売り上げが月に500万円、年間では6000万円。自社開発商品なので粗利も高く年間で数百万円の利益が出ている。

 今回考えているのは、1カ店当たり(敷金なども含め)1500万円程度の什器で済む内容となる。それを年間10店舗作っていく。1店舗の売り上げや規模自体はそこまでではないが、これからの大きなヒントとなる」

 ――小型店舗の役割として期待しているのは靴通販市場を含めたトレンドを測るという目的もあるのか。

 「より速く察知できる部分はあると思う。店舗の結果で、思ったよりもいけるいけないなどの判断ができる。これまでも我々の強みである1000坪(3300平方メートル)以上の靴売り場を持つ『岩岡店(神戸市西区)』で、ある程度の売れ筋トレンドは分かっていた。しかし、地域によってのもっと細かい部分を知る必要がある。例えば当社でシェアを持つ商品の一つに上履きがあるが、これは地域ごとには事情が異なり、中には裸足の幼稚園や、(阪神・淡路大震災の後は)運動靴のままでいる学校などもある。そういった状況が分かっていなかった部分もあるので、地域ごとの事情やその変化がある程度つかめるようになっていきたい」

 ――関西で展開していくということか。

 「本来はもっと広くやりたいが、効率と目の届くところ、人の配置という範囲で考えると神戸、阪神間が一番やりやすくなる。例えば阪急電鉄で言えば(隣接する)武庫之荘、塚口に出してという形にすれば、1人の社員が電車で数分で移動できるので運営が可能となる。在庫に関しても一つのパッケージ化した同じものをまとめて物流センターから送れば、極力、販管費を抑えて収益の上がる小さな店舗をつくることができる」

 ――商品開発の面では上位モデルの開発も強化に挙げている。

 「富裕層を狙っているというわけではない。今は安いだけでは誰も買わないので何らかのメッセージが必要。今はマーケットインではなくユーザーインが大事。顧客にとってこの商品を使うことで何がプラスになるのかという情報を発信できなかったら、相手にはされない。何らかの付加価値がないとだめだと思う。今期の小型店の立ち上げについても、上位ブランドを作るための下地づくりという意味も含まれている」




 
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