【コメ兵 リユース企業の挑戦】 リメークジュエリーを強化、日本製で産地に貢献・消費者ニーズに対応、ミレニアル世代の開拓も
2019年 8月22日 14:00
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コメ兵がリメークジュエリーに取り組むのは”技術継承”の側面が大きい。国内宝石産業は、バブル崩壊後の消費低迷や素材価格の上昇などで価格を安価に抑えるため製造拠点の海外移転が加速した。同社は以前から宝石の街として知られる山梨・甲府に商品づくりを依頼していたこともあり、ジャパンメードのリメークジュエリーを強化することで、国内に残る職人の技術継承に貢献できると判断して「リッカ」を立ち上げたという。
古いデザインのジュエリーから自社の目利きで高品質なダイヤだけを取り外し、シンプルなデザイン枠にはめ替えてダイヤのリングやネックレス、ピアスを販売。「今のニーズに合った商品にリメークして次のユーザーに使ってもらうことが循環型社会を創造する企業として大事」(藤原義昭執行役員マーケティング統括部長)とする。
リメークは甲府のジュエリー工房に依頼。中古の石を使うことでコストを抑え、販売価格に反映できるだけでなく、国内製造でもコストが見合う事業モデルを築いた。
「ミ ルーナ」はブルートパーズやアメジストなど数種類のカラーストーンから選択できECで消費者に直接販売するコメ兵初のD2Cモデルだ。同ブランドはサステナブルとデザイン性を重視。国内生産に限定してはいないが、現状は甲府の協力工場に依頼している。
「カラーストーンは価値があるのに使われない石もあり、もったいないと思っていた」(中桐充雄マーケティング統括部営業企画部次長)という。ダイヤとは異なり、カラーストーンは買い取り時の石の形がバラバラだが、それを逆手にとって石を選べるカスタムオーダー型の商品が受けている。
D2Cとリメークの掛け合わせにより、セクトショップなどで販売されているジュエリーの半額程度で提供できるのも強みだ。
コメ兵の主要顧客層は40代~50代だが、「ミ ルーナ」はミレニアル世代がターゲットで、大ぶりな天然石をアクセサリー感覚で身につける女性が増えていることも追い風になると判断した。当該世代を獲得するため、「ミ ルーナ」ではスマートメディアとタッグを組み、同社がマーケティングと専用サイトの運営を、コメ兵がプロダクト面を担う。スタート時はコメ兵の青山店でリングとピアスの展示販売会を実施して想像以上に売れ、若い女性のニーズを確認できたとする。
認知拡大に向けては、自社の店舗以外でのポップアップ開催を計画。8月27日~9月13日には有楽町マルイの1階に出店し、天然石を選んで注文できるカスタムオーダーも開催する。
リメークジュエリー自体は製品にかかわるすべての人に対して”フェア・プライス”を追求しており、コメ兵にとっても大きな利益を生む事業ではないが、「リメークジュエリーを通じてブランド中古品や古着などを知る機会になればいい」(藤原執行役員)とする。同社ではダイヤもカラーストーンも自社の物流センターで真贋と品質の選別を実施。既存アセットを活用でき、リスクも少ないことから時間をかけて育成していく。