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楽天の「楽天市場」 「送料無料」を「送料込み」に、退店者への返金も実施

2020年 2月20日 14:25

 楽天では、仮想モール「楽天市場」に3月18日から導入を予定している、送料無料となる購入額を税込み3980円で全店舗統一する施策に関して、呼称を「送料無料ライン」から「送料込みライン」に変更することを明らかにした。また、今回の施策が原因で退店する店舗に対し、出店料の払い戻しや楽天市場以外の通販サイトへの案内支援を行う。
 







 2月13日の記者会見で同社の三木谷浩史社長(=写真)は、呼称を変えた理由について「今回の施策に関して『送料無料ライン』と報道される中で、『送料を加味した価格調整をしてはいけないのではないか』『店舗が負担するコストが増えるのではないか』という誤解があるのではないかと思った。送料無料の方がエンドユーザーには響きが良いとは思うが、送料込みの方がより正直だし皆に分かりやすいのではないか」と説明。今回の施策に関しては、公正取引委員会が独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで調査を進めているが、名称変更への影響は「あったというのが正直なところ」(三木谷社長)とする。

 現在、楽天市場では「3980円(税込み)以上で送料無料」と題したページで3月18日から始まる新施策についてユーザー向けに説明している。今後については「どんな文言でアピールしていくか検討している」(EC広報課)という。

 退店者向けの出店料払い戻しについては、特別措置の概要と申請方法を店舗に案内した。楽天市場は半年ごとに契約を更新する仕組みで、退店する場合は更新1カ月前までに楽天に通知する必要があり、それ以前に退店する場合でも出店料の返還はされない。今回は特別措置として、3月13日までに解約した場合は出店料の払い戻しを行う方針。楽天市場以外の通販サイトへの案内支援に関しては、楽天市場店の閉店告知から直接リンクを張るかどうかといった詳細はまだ固まっていない。

 昨年8月の施策の詳細発表以降、沖縄・離島に配送する場合の基準額を9800円に引き上げるなど、店舗の声を受け入れる形でルールを見直しているが、再販制度のある新品の書籍とCDに関しても、新施策の適用外とすることを決めた。




「足並み揃えてアマゾンに対抗」

<質疑応答から>

 2月13日に開催された決算説明会における報道陣との質疑応答から、「送料無料ライン」関連を抜粋した。

 ――「送料無料ライン」を「送料込みライン」に変えた理由は。

 三木谷浩史社長「『送料無料ライン』と報道されると、『送料を加味して価格を調整してはいけないのではないか』、その分『店舗が負担するコストが増えるのではないか』という誤解が生まれると思った。送料無料の方がエンドユーザーには響きが良いと思うが、より誤解がないようにしたい。何でも『タダ』というサービスはないので、送料込みの方が正直だし、皆に分かりやすいと考えて名前を変更した」

 ――公取委による調査の影響で名前を変えたのか。

 三木谷「影響があるかないかといえば、あったというのが正直なところ。今までと同じ価格で送料を負担しろと言っているわけではないのに、正確に伝わっていないという反省がある。店舗に対しては、中長期的に大きな損失が出ないよう、価格を調整してほしいということを周知徹底したい。『この店舗は送料300円だが、あの店舗1800円』というようにバラバラになると消費者は買いづらいので、ビジネスそのものに影響する。今までは楽天のエコシステムで3000億円のポイントを生み出し、必死に支えてきたが限界はある。今回の施策を導入した方が心の底から良いと思っている。送料無料となるラインをもっと低くするという考えもあるが、店舗の負担が重いし、『安価な商品を1つ買うだけでガソリンを消費するのか』という環境問題もある。3980円が最適で、少なくとも10%は店舗の流通額が増すと思う」

 ――「楽天トラベル」では昨年、独禁法違反の疑いで調査を開始した事案について、競争上の問題の早期是正を図り、事業者と協調的に問題解決を図る「確約制度」が適用された。今回の件でも応じる考えはあるか。

 武田和徳副社長「楽天トラベルの件は今回のケースとは全く違い、すでに実行している規約について、『ブッキング・ドットコム』『エクスペディア』と同等に立ち入り検査が行われた。たまたま昨年8月に規約変更があったので、これにあわせて問題となった部分を訂正しようということで、確約手続きを行った。そのため、今回とは違うパターンだ」

 三木谷「結局、他の外資2社はその後何も処分を受けておらず、日本の企業だけがやられているという事情だ」

 ――公取委が立ち入り検査を実施したことへの受け止めは。

 三木谷「特段ないが、(楽天市場という)船がちゃんと浮かんで、その上に乗っている店舗が今後も強烈に激化する競争の中、荒波を乗り切っていくためにはこれしかないと思ってやっている。公取委にも理解してもらいたい。ただ、本当に大変な店舗がいるかもしれないので、何ができるかを初心に戻って考えたい」

 ――自社物流の整備に関して、目標としている日本全国の物流カバーエリア80%はいつ達成できる。

 武田「1月時点で60%を超え、主要都市はカバーした。残りの20%は人口密度や配送密度の少ない地域が対象となる。今後は地場の物流会社や地方自治体の協力も得て、ここ1~2年で広げたい」

 三木谷「自社物流整備はお金がかかるので、本当はやりたくなかった。ただ、2年前に『物流クライシス』があって、宅配会社が荷物も受け取らず配送料を倍にした。これでは店舗も耐えられないので、自分たちが立ち上がらなければいけないと覚悟を決めて2000億円の投資をしている。大赤字だが、店舗のためにアマゾンより安い値段を実現しようと必死でやっている」

 ――予定通り3月18日から施策を開始する理由は。

 三木谷「何万という店舗が準備をしており、『今更戻されても困る』という声も多い。また、当社としては価格を当社の裁量でコントロールしているつもりなく、店舗が価格調整をしてくれればいいと考えているので、優越的地位の乱用にはあたらないと認識している」

 ――強行すると企業イメージがダウンするのでは。

 三木谷「いろいろな考えがあると思うが、時代の流れは基本的にはフリーシッピング。当局が消費者の行動まで正確に理解して判断しているのかどうか、私は疑問を抱いている。従量課金を20年近く前に導入したときも、変化に対して怖がる店舗があった。しかし、これをやったから、楽天市場が2兆円・3兆円という流通総額を生み出しているわけであって、踏み出してみれば結果的に『やってよかった』となるはずだ。しかも、今回の場合は楽天が儲かる話ではない。店舗が儲かる施策だ」

 ――一部出店者が結成した任意団体「楽天ユニオン」は今回の施策に対し「中小企業切り捨てだ」と批判している。「バラエティーに富んだ楽天市場」という方針を変更する考えなのか。

 三木谷「そういうつもりは全くない。そういう店舗が、アマゾンのような大企業に対抗できるように足並みを揃えようという話。楽天ユニオンの店舗にもいるが、『380円の商品を買って2000円の送料』という店もある。皆さん楽天ユニオンについても調べてほしいと思う。そういうところをきれいにしていかないと、『楽天で安心して買おう』とならない。今回の施策で、地方の小さい店舗でも、正々堂々とアマゾンのような企業に対抗できるよう、応援していきたい」

 
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