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コスト構造が安定化へ【エアークローゼットの天沼社長に聞く サブスク事業の現状と展望】 プラットフォーム提供も

2020年 7月16日 07:20

 エアークローゼットは月額制ファッションレンタルサービスのパイオニアとして順調に消費者の支持を集めているようだ。最近では自宅で試してから購入できるメーカー公認のレンタルモールを開設し、美容家電を扱うなど商材の幅をライフスタイル領域に広げてきている。データ活用やAI活用にも積極的に取り組むが、「その目的は顧客体験をより良くすること」と語る天沼聰社長兼CEOに、主力の「エアークローゼット」を中心としたサブスクリプションビジネスの現状や展望などを聞いた。
 











――サービス開発に際して心がけてきたことは。

 「一番大切にしているのは、お客様のライフスタイルを豊かにしたいということ。新しい洋服を選ぶ時間を面倒だと感じずにワクワクしてもらえるようにしたい」

 「サービス開発の面では大事にしていることが3つある。ひとつは、これまで情報もサービスもマスに向けて提供されてきたが、当社は消費者一人ひとりの好みの違いに対応し、”パーソナライズされたサービス”を提供している。今まで数十万件のコーディネートを提案してきたが、そのすべてが用意されたコーデではなく、当社スタイリストが1着1着お客様に合わせて選ぶことにこだわりを持っている」

 ――すべてのサービスで商品との出会いを提供している。

 「その通りで、ふたつ目はモノそのものよりも、モノを介した体験といった”コト消費”に主眼を置いている。レンタルサービスを選んだのも、洋服に出会うという点ではデジタルだけでもできるが、ファッションは実際に着用し体験してもらうというコトにつなげる部分を意識した」

 ――3つ目は。

 「お客様の時間価値が高まるサービスを提供することだ。レンタルサービスを展開する上でスタイリングを取り入れているのも、スタイリストが服選びの作業を代替することでお客様の時間価値を高められるからだ」

 ――テック企業としても知られている。

 「当社はテクノロジーの活用をすごく意識しているが、AIやデータ活用は目的が何かによって使い方が変わる。当社の目的は顧客体験(UX)の最大化で、顧客体験をより良くするためにテクノロジーを使う」

 ――5年半の間にレンタル市場はどう変わった。

 「消費者軸とファッション業界からの見え方があるが、消費者軸ではメルカリさんが急成長したこともあってシェアリングエコノミーの概念や古着・中古品という二次流通は生活に急速に浸透した。一方でレンタルサービス、とくに月額制サービスは体験しないと分からないため、ハードルが少し高い。『エアークローゼット』も知名度としてはまだまだで、これから広がっていく市場だ」

 ――業界からの見え方はどうか。

 「激変している。当社が普段着のオンラインレンタルサービスとしてスタートしたときは類似サービスもなく、業界から『それは無理だよ』と否定的な声が大きかった。今はブランドのファンを作るという観点からブランドを知ってもらったり、洋服を着てもらう機会を増やすことにつながるため、『エアークローゼット』はプロモーションのひとつになっている」

 「また、業界の流れのひとつにサステナブルがあり、1着の洋服をいろいろな人が着ることでサステナブルに近づくという部分も取引先ブランドから評価され、レンタルサービスに対する見方も変わったと感じる」

 ――パーソナルスタイリングへの見方は。

 「そこも大きく変わった。以前、リアルイベントで当社スタイリストが来場者一人ひとりに合わせたスタイリングサービスを提供するために複数ブランドの協力を仰いだが、『スタイリングはブランド単位で組むもの』と反対された。ただ、昨年は27ブランド横断でその企画が実現した。業界からもブランドを知ってもらう機会を作ること、スタイリングを提供することの重要さを肯定的に受けとめてもらえた」

 ――月額レンタルサービスの難しさは。

 「サービスを開発する上でもっとも難しいのは事業構造をしっかり形作ることで、とくにコストコントロールの部分が肝になる。当社は3年以上かけてコスト構造の分析・改善に注力し、ようやくこの1~2年で安定してきた。それまでには、例えば倉庫は5年間で4回移転し、その都度、システムや業務フローの刷新も併せて実施してきた」

 ――物販にはない「返却」がある。

 「その通りで、システムや業務フローだけでなく、返却後に欠かせない商品のクリーニング・メンテナンスについては専門チームを設けていて、クリーニングの事業者と一緒に洗い方を変えたり、洗剤を独自に開発してもらったりと踏み込んで、事業構造に合うものに変えていった」

 ――そうしたノウハウが貯まっている。

 「サブスクリプションは仕組みを作ることが大事なため苦労した。継続的な改善作業は必要だが形としてはできあがったので、今後はその仕組みを他の企業が使えるようにプラットフォーム化していく。コロナの影響もあってオンラインレンタルに興味を示す企業が増えており、そうした企業に当社のプラットフォームを使ってもらう機会も出てくると思う。新規参入組がファッションレンタルサービスを展開するために倉庫やメンテナンスの仕組みを作るのはかなりハードルが高い。既存倉庫のシステムを刷新する必要もあってリスクも高い」

 ――どんな形で支援することになるのか。

 「レンタルは倉庫内の動線や設備が特殊なため、恐らく当社の倉庫を使ってもらう方がフィットするのではないか」(つづく)


 
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