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同カタログでは毎年、バイヤーの木野内美里氏が日本初上陸となる海外チョコを現地で発掘し、掲載するのが恒例となっている。今年はスロベニア、昨年はオーストラリアのタスマニアと、初上陸となる国のチョコレートを紹介している。10月29日には、各国の個性的なショコラティエたちとのエピソードをまとめた書籍『「幸福のチョコレート」を探しにどこまでも』(新潮社)を出版した。
しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で海外への渡航ができない状態となった。「今回はロシアへの初渡航を予定していたが、コロナ禍を受けて3月に延期。5月には大丈夫だろうと考えていたが、駄目だった」(木野内氏)。
そのため、今年はこれまで木野内氏が交流してきた、各国のショコラティエとビデオ会議システム「Zoom」を使って商談を実施。新カタログの目玉となるのが、”心をつなぐハート”チョコ特集。木野内氏が世界のショコラティエに「ハート型のチョコを日本に送ってほしい」と呼びかけたものだ。さらには、日本の顧客へのメッセージとして、「幸福のチョコレート」と手書きしたボードを掲げた写真を送ってもらった。
「最初は茶色のハート型ミルクチョコばかりが送られてきたが、そのうち皆さん趣旨を理解してくれて、面白い形のハート型チョコが集まりだした」(木野内氏)。オランダの人気店「プッチーニ ボンボーニ」からは、チョコの絞り出しでハートをかたどったチョコが送られてきた。ホワイトチョコとベリーのチョコの2種類で「すごく手間のかかるチョコで、1個ずつ形が違う。とても可愛らしい形で、作り手の『こんなチョコを作るのは私たちだけ』という自負が感じられる」(同)。
今回のカタログでは、アフリカ大陸からは初となる、南アフリカのチョコレートを掲載した。南アフリカは中国への直行便があるなど、流通が比較的安定していることから、ネットで調べたショコラティエに声をかけたところ、二つ返事で決まったという。アフリカのイメージを取り入れた、ヒョウ柄のハート型チョコを販売する。
また木野内氏は、コロナ禍を受けた、最近のチョコを巡るトレンドの変化について「ローカルな時代が来たのではないか。これまではパリやニューヨークのように、人が大勢集まる街でないと商売が成り立たなかったが、有名なショコラティエがどんどん田舎に引っ越している。新鮮なミルクが調達しやすいし、生活の一部として仕事を楽しんでいるようだ。それを可能にしたのがインターネット。来店者が少なくてもネットで販売できるし、流通の発達でカカオなどの原料や道具がどこでも手に入るようになった」と述べた。