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17LIVEの「ハンズアップ」、ノウハウやコストに強み【ライブコマース市場の潮流は?】 「イチナナライブ」と連携も

2020年12月 3日 07:30

 ライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」を運営する17LIVEは、ライブコマースサービス「HandsUP!(ハンズアップ)」を柱事業のひとつに育てる。

 同社は昨年12月に「ハンズアップ」を始動。ライブコマースの支援ツールとして商品登録からライブ配信、購入までの仕組みを一気通貫で提供している。他社サービスの場合は導入先の自社ECと連携し、商品購入は自社ECでという企業が多く、ECの会員基盤が整っている企業しか取り組めないというデメリットがある。

 「ハンズアップ」の場合は自社ECとも連携できるが、視聴から購入までを「ハンズアップ」内で完結できるのが特徴で、自社ECを運営していなくてもライブコマースを実施できるため個人も利用しやすく、例えばアイドルの物販やミスコンの投票券販売なども含めて幅広く利用されている。

 視聴者はSNSを通じて会員登録を済ましておけば、ライブコマースを見ながらそのまま商品を購入できる。

 主力事業「イチナナライブ」のノウハウをコマース上でも演出できるのも強みで、レアグッズやお得なセット商品など在庫の少ないアイテムを購入できる抽選機能や、「Aさんが○○をカートに入れました」と表示して”行列”を演出する機能などもある。

 国内ではコロナ禍でライブコマースをトライアル的に実施する企業が増えているが、まだライブコマースとしての成功パターンが少ないのが実情だ。同社では小売り大手からアイドルまで幅広い種類のライブコマースに取り組んで得たノウハウをもとにコンサルティングを行い、ライブコマースの番組作りにも協力する。

 また、「イチナナライブ」には素人のライバー(ライブ配信者)が多いため、配信の仕方など基本的なスキルも教えるほか、「イチナナライブ」の人気ライバーを小売り企業のライブコマースに起用するといった連携も始まりつつある。

 同社によると、「双方向ではなく一方的な配信になるとライブコマースは失敗する。一種のコミュニティー形成をライブ中に実施していくことが大事」(村井宏海ライブコマース事業責任者=顔写真)としている。

 現状、「ハンズアップ」はアパレルや美容・健康、食品、イベント関連などで導入が進んでおり、とくにファンケルとの取り組みでは売り上げも作れていることから、健食を扱う企業からの問い合わせが増えている。10月には、ファンケルとキリンの共同開発商品を「ハンズアップ」で特別先行販売し、一定の成果を得たようだ。

 また、小売りやメーカーだけでなく、広告代理店が広告メニューのひとつにライブコマースを加えてきており、広告代理店経由での取引先拡大にも努める。

 ライブコマースサービスの競合も増えているが、「コスト面とノウハウの提供が、最終的に当社が選ばれる決め手になっている」(村井氏)とする。「ハンズアップ」の利用に開発費用はかからず、月額5000円から始められ、販売手数料は10%となる。台湾発のサービスで人件費が日本よりも安いほか、ライブコマースサービスだけを提供している企業の場合はサーバー費用がかかったり、配信回数が制限されるケースもあるが、「ハンズアップ」は「イチナナライブ」とサーバーを共有しているため競争優位性が高いという。

 「ハンズアップ」の流通額や導入企業数などはコロナ禍のニーズ拡大もあって毎月右肩上がりで推移していることから採用面の強化に努めており、「ライブコマース業界をリードしていきたい」(村井氏)とする。

 今後は「イチナナライブ」との連携を強化する。「イチナナライブ」の番組配信中にリンクを貼って流入を図り、「ハンズアップ」で買える仕組みをテストしている。「イチナナライブ」は個人の配信者が多いものの、今後は企業の参画を見込んでおり、商品購入につながるサービス設計を強化する。また、中華圏などを候補にした越境型ライブコマースも検討。とくに美容・健康領域は海外でのニーズも高く、多言語対応も含めて来年中には海外向け配信のトライアルを行いたい意向だ。
 
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