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【トクホ 終わりの始まり 12.サプリの逆襲④】

2021年 8月 5日 13:00

健康食品がまたも「蚊帳の外」

 低迷する特定保健用食品制度(=トクホ)を尻目に、米国からの規制緩和要求でサプリメントの新たなルール形成が進んだ90年代後半。この結果、形状規制が緩和され、ハーブなどの食薬区分を整理。さらにビタミン・ミネラルについて、機能を表示できる「栄養機能食品」が02年に誕生する。さらに03年からは「健康食品」の制度化を目指した検討会も開始され、サプリメントの逆襲はクライマックスを迎える。

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 2003年4月。厚生労働省で「健康食品」に関わる制度のあり方に関する検討会が開催された。それからおよそ1年かけて、13回の議論を重ね、04年6月に、提言をまとめる。この検討会は「健康食品」を行政が始めて俎上に乗せて、その制度化を目的としたという意味で、画期的なものだった。96年から続いてきた米国の規制緩和要求のエンドポイントともなった。しかし、その結論はトクホの部分的拡大という結果に収れんされる。

 この検討会の提言を受けて、05年に(1)条件付き特定保健用食品(2)規格基準型特定保健用食品、さらに(3)疾病リスク低減表示が新たに導入された。

 一見すれば、間口が広がったように思えるが、実質的には(2)規格基準型以外は、その後、ほとんど利用されず、無用の長物となっている。

 (1)条件付きトクホは、トクホの許可要件を少しだけ緩和したものだ。しかし、求められる臨床試験などは実体としてはほとんど変わっていない。

 「わざわざ条件付きにする馬鹿な事業者はいない」(大手企業)という不興ぶりで、導入後、16年を経て、数件しか申請実績がないという惨憺たる状況だ。完全に失敗した制度だ。

 (3)疾病リスク低減表示もひどい。導入後、現在まで許可された表示は「カルシウムと骨そしょう症」と「葉酸と胎児の神経管閉鎖障害」の2つだけ。前者で許される表示は「この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません」。

 普通に考えて、小学校の家庭科で習うようなことを、長文で、文末が「かもしれない」となるにも関わらず、表示するというのはかなり奇特なケースだとう。売れる訳がないからだ。

 実際、疾病リスクもこれまでに許可された製品が前者が30製品。後者に至ってはゼロだ。まったくもって、行政コストの無駄といえよう。

 これまでに見た通り、トクホに関連してはこうした信じられないようなことが数多く起こっており、しかも行政的には誰も責任を取らず放置されている。日本の役所仕事の一つの縮図といえよう。

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 一方で(2)規格基準型トクホはこの後、トクホ市場を大きくドライブさせるけん引力となった。ただし、カテゴリーは「飲料」でサプリメントタイプではない。錠剤・カプセルタイプの健康食品は、引き続き、実態として「蚊帳の外」に置かれることになる。制度外に置かれ続けることで、この後、サプリメントはさまざまなトラブルに見舞われることになる。トクホは伸び、サプリは叩かれるという逆転現象だ。

 03年の健康食品制度検討会は、その意味で大きな分水嶺となった。

 もともと、規制緩和の総仕上げとして、新しいカテゴリーの創設を目指したが、トクホの一部改変でお茶を濁されたといえよう。

 なぜ、この様な結論となったか。当時を良く知る関係者は(1)時間がかかり過ぎたこと(2)業界側のゴールが定かではなかったこと(3)米国大使館や業界の関係者が途中で入れ替わったことなどを理由にあげる。

 「本来、この時点で現在の機能性表示食品のような新制度をつくるべきだった。形状規制緩和、食薬区分の見直し、栄養機能食品創設と小出しにされ、その間に業界のエネルギーと推進力が削がれ、本来の目的を見失った」(関係者)。

 実はこの間、厚労省内部でもトクホの位置づけを全面的に見直すべきという意見が出ていたという。「トクホを医薬部外品に移行させて、薬機法で管理するというアイデアもあった」。ある厚労省OBはこう打ち明ける。

 兎にも角にも、米国からの規制緩和要求の10年を経て、トクホ、そしてサプリメントは新たなステージに向かうことになった。(つづく)

 
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