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リアルのアセットで差別化【JRE MALLの現状と今後 JR東日本㊦】 25年に取扱額1300億円を目指す

2021年12月16日 14:29

 前号に引き続き、東日本旅客鉄道(=JR東日本)が運営する仮想モールの「JRE MALL」について、同モール運営チームの責任者である、事業創造本部新事業創造部門新領域UTの細田知宏マネージャー・統括に、現状や今後の展望を聞いた。

 ――モールとリアルとの連携が進んでいる。

 「『エキュート』や『グランスタ』といった駅の商業施設で商品受け取りの予約ができるサービスの『ネットでエキナカ』もモール内で展開しているが、今回、ロッカーでも受け取れるようにしている。以前は予約した店に行って受け取る形だったが、それに加えて、(店が)営業時間外であってもロッカーを使うことで受け取れるサービスで、12月から開始している。

 やはり、駅という生活導線上にある施設を持っていることは大きい。駅もロッカーも店舗もあらゆる空間が、モールへの入り口や受け取りに使える」


 ――昨年に提携した千趣会との相乗効果とは。

 「東京駅に常設で『ベルメゾン』の実店舗を2つ開設しており、その中でOMOの仕組みを作って、駅受け取りや(駅コンビニの)『NewDays』でのEC購入商品の受け取りなど色々とトライアルを始めている。

 また、商品がモールでも買えるということだけでなく、気に入った情報をストックしておける『MY LIST SHOPPING』という機能も入れている。リアルからどれくらいウェブに遷移して購買したかが計測できるもので、アプリから商品バーコードを読み込めるようになっており、モールでの購入だけでなく、情報としてストックして検討できるようにもなった」


 ――売り上げにも好影響が出ている。

 「出店した『ベルメゾン』の売り上げが着実に伸びてきていることは大きい。また千趣会ではリアルの常設店の出店で、OMOのトライアルも含めてお互いに色々と試すことができているということも大きな成果。これ以外にも、品川駅や八王子の駅ビル、最近では青森や仙台など様々な場所で(千趣会に)催事を行ってもらっており、ECだけでなくリアルでの連携もかなり高まってきた。

 やはり、長年、通販業界でやられていた会社なので、そこでのマーケティング力はこのモールにはなかったところ。また、タイアップ企画で千趣会の顧客にモールへの案内メールを出してもらったりなど、少しずつ(相互送客に向けて)取り組んでいる。千趣会は商品開発からマーケティングまで一貫して持っているので、今後もモールや商業施設などで新しい商品や業態を一緒に立ち上げることができれば、面白い取り組みとなるのでは」


 ――今後のECでの計画や目標について。

 「2025年にJRE MALLの取扱額として1300億円を目指している。数字を達成すること以上に、これくらいのボリュームのサービスをデジタルのプラットフォームを通じて提供できているということが、沿線に住んでいる人達へのサービスアップにつながると思っている。

 足元で言うと、私たちはECサイトそのものとしての実力をもっと高めないといけないので、アイテム数を増やすことであったり、その中でもJRE MALLならではの特徴のあるものを開発する必要がある。また、UIの改善ももっと行わなければならない。もちろん、我々が持っているリアルとしての接点をもっと増やして、本当の意味でのOMO、シームレスなサービスを提供していきたい」


 ――他の仮想モールとの差別化としては。

 「やはりリアルのアセットを持っている強みを生かしたい。それができないと、鉄道利用者へのサービスアップにもつながらないと思う。結果、それが差別化の要素になるのだと思う」(おわり)


 
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