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中古クラブが好調に推移【坪井リテールビジネスユニット長に聞く GDOのEC戦略の現状㊤】

2023年 3月16日 13:00

 ゴルフダイジェスト・オンラインではコロナ禍のゴルフ市場の拡大と共に、関連商品のEC事業を大きく伸ばしている。一方、昨年からの感染対策の緩和と共に消費者の余暇の過ごし方も多様化してきている。市場環境が徐々にコロナ以前のように戻りつつある中、同社で注力すべき取り組みや今後の展望などについて坪井春樹リテールビジネスユニット長に聞いた。










 ――2022年12月期のゴルフ用品販売を振り返って。

 「売り上げ(実店舗販売も含む)に関しては前年比104%の伸長。前年の21年がコロナ禍で、世の中がゴルフブームとなり盛り上がっていた。ここで新規の顧客が非常に増えて好調だったが、それに比べると22年は少し落ち着いた印象。もともとの見立てでは10%程度の成長を目指していて、そこまではいかなかったが成長することができた。

 好調カテゴリーは中古のゴルフクラブ。環境として新品商品の調達難がまだあって、コロナの影響で素材だったり人員の不足などで中々製品があがってこないことが続いていた。また、物価高で商品価格が高騰していた影響もあり、ゴルフ用品も価格が上がっている。そうした中でリユース商品が伸びているのではないか」


 ――ゴルフクラブ販売が好調な理由は。

 「昨年6月に『下取り割サービス』を始めた。これはゴルフクラブを購入するのと同じタイミングで(顧客の手持ちの)ゴルフクラブの買い取りが同時にでき、(買い取り額との)差額で決済するもの。このサービスが支持されたことで、中古ゴルフクラブの買い取りも、新品ゴルフクラブの販売も伸びた。買い取り在庫は今非常に増えていて、それが売りにつながっている。

 また、残価設定型の『TRY SHOT(トライショット)』というサブスク型のサービスもコロナ禍で非常に伸長したもの。商品価格が上がっていることも大きい。リスクなく新しいゴルフクラブを試せるので、それが支持されているのでは」


 ――購入単価の推移などは。

 「新品ゴルフクラブの価格自体が上がっているため、価格メリットで中古ゴルフクラブの購入が選ばれている。ただ、顧客の購入単価自体は上がっている。ドライバーやフェアウェイウッド、パター、アイアンなどゴルフクラブの種類が様々あるので一概には言えないが、平均すると中古も新品も前年、前々年より1割程度は上がっているのではないか」

 ――引き続きコロナ禍でメーカー側の商品生産の遅延がまだ解消されていないのか。

 「ゴルフクラブは大きく分けて、ヘッドとシャフトとグリップという素材がある。特にシャフトについて、使われているスチールやカーボンの素材が足りずに、中々供給ができなくなっており調達難が続いていると考えられる」

 ――不調だった商品カテゴリーは。

 「ゴルフ用アパレルについてはメンズ、レディースともに伸び悩んだ。これは特定のブランドに偏りもなく全体的に見られた傾向。21年はゴルフを始めた人がたくさんいて、そこで購入が伸びたが、22年はややこのパイが落ち着いたのではないか。あとは、これまでECで好調だった”キャリー品”と呼ばれる特価品・セール品について、1年キャリー(持ち越し在庫)したようなアウトレット品をメーカーさんより供給されていたが、市況的にそれがかなり少なくなってきた。これによりお手頃な価格の商品が減ったことは影響しているだろう。今はアパレルメーカーさんの多くがプロパー販売を強化していて、自社ECも使っている。あまりたくさんの商品を製造して消化するというよりも、売れるだけの適正な量を作ってうまく在庫管理するという方針になっているのではないか」

 ――近年、上昇を続けている物流コストへの対応については。

 「当社では3PLの倉庫を借りて、そちらに業務委託している。我々の投資という訳ではないが、そちらで進んでいるものとしては自動梱包機のように商品の荷姿や大きさに合わせて箱を自動で適正なサイズに梱包できるものを導入されていたり、あとは自動倉庫、自動ピッキングなど新しい物流システムが導入されている。こうしたことが人件費高騰への対策になってくると思うので、今後、(物流現場の)スタッフ数が減っていく中で、なるべく自動でオペレーションするための動きが進んでいるようだ。

 自動梱包機の場合、小さな荷姿のものが多いので、ゴルフクラブやキャリーバッグなど大きいものに対応することが難しくなる。細長かったり特有のサイズがあるので、こうした大きな荷物に対しては当社で改良しなくてはいけないところ。例えば、ゴルフクラブの箱などは(専門の業者に依頼して)なるべく小さくするように心がけている。荷物の大きさによってタリフが変わってくるので、そこを見ながらなるべく下のタリフで収まるような箱を作って対応している」


 ――今年は宅配料金の値上げも話題となっている。

 「まだ、直接的には言われていないが、分からない部分もある。おそらく、我々、事業者側のタリフが変わってくるのはもう少し先ではないかと見ているがいずれは上がるのではないか。そこへの対策というものは具体的にはまだないが、我々ができることとしては同時購入の点数を上げたり、単価の高い商品にMDをシフトしていくなど、内側の取り組みで対応することになるかもしれない」(つづく)

 
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