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新サービスの横展開を視野に【坪井リテールビジネスユニット長に聞く GDOのEC戦略の現状㊦】 売り場改善も今期の重点課題

2023年 3月23日 11:00

 前号に引き続き、ゴルフ用品販売などを手がけているゴルフダイジェスト・オンラインに、昨年から注力している取り組み内容や今後のゴルフ用品関連市場の展望などについて、坪井春樹リテールビジネスユニット長に聞いた。

 ――下取り割やトライショット以外で注力した施策とは。

 「強化しているのはアプリ。ECにおいてスマホのブラウザからアプリへの送客もそうだが、アプリ自体のダウンロードポップなども強化していた。ダウンロードだけでなく、その後のコンバージョンにつながるようにポイントやクーポンなどアプリ限定のインセンティブも用意している。やはり、ダウンロード後にそのまま買い物に使えるクーポン(10%割引程度)の反応が良かった」

 ――すると昨年はアプリ会員数がかなり増えたのか。

 「デバイス別の構成比で言うと、もともと2021年はアプリが大体25%程度だったが、22年は30%を超えたので5ポイント以上は引き上げることができた。

 アプリはプッシュ通知が使えることから即時に色々なコミュニケーションを取りやすいのがメリットになるかと思う。これまではメルマガが中心で、今も多いが、徐々に減ってはきているので、今後はアプリにシフトしていくべきだと感じている」


 ――昨年は都内の秋葉原にショールーミング型店も開設したが、既存店も含めたリアルとの連携による集客施策についてはどうか。

 「秋葉原の実店舗については、バイヤーがセレクトした商品を展示していて、あまり世の中に流通していない商品なども取り扱っている。ECへの送客や新しい顧客の開拓という点についてはまだまだこれからという状況。

 また、中古品販売の『ゴルフガレージ』については、在庫自体を連携している。中古商品の場合、倉庫に置いているわけではなく、ゴルフガレージの実店舗にあるものをECで販売していて、リアルでもECでもどちらからも購入できるという状態を作っている。先ほどの下取りサービスも伸びているため、ここでの在庫連携はかなり進んでいる」


立ち上がりは前年越え

 ――23年12月期の立ち上がりの状況は。

 「立ち上がりとして、大きくではないが前年を越えている状況。ゴルフ市場としては1月はあまり良くなくて、ゴルフ用品販売市場全体を見ても前年比90~95%くらいとなり、結構苦戦していた印象がある。昨年の12月もあまり良くはなかったのでそうした市況なのだろう。あとは大きなヒットとなるプロダクトも今は出ていない影響があるのかもしれない」

 ――今期に強化するポイントは。

 「今期は引き続き、サービス強化を考えていて、トライショットや下取り割など新しいサービスの磨き上げや認知拡大をしていきたい。例えばトライショットは、今対象となっているのが新品のゴルフクラブだが、中古ゴルフクラブにも広げたりするなど、カテゴリーを横に増やしていくことも考えていきたい。下取り割も今はゴルフクラブが対象だが、キャリーバッグやアパレルが対象に入ってもいいと思うので、こちらもカテゴリーを広げることはやっていきたい」

 ――今年のEC市場展望について。

 「EC化率を市況データとして見ることができるが、22年は前年よりも少し下がった。もしかすると23年はまた少し下がるかもしれない。どうしても、実際に商品を見て買いたいという顧客はいるのかなと思う。そのためにトライショットや下取り割を作って、なるべくウェブで簡単に買い物ができるようにしている。そこは今後も引き続き強化しなくてはいけないところ。

 また、今期の当社の取り組みとして、1番はサービスの磨き上げとなるが、2番目に掲げているのは売り場改善だ。ポイントとしては、特にカートに近い部分の商品詳細画面の改善について優先度高く行いたい。ウェアカテゴリーも特に強化したいところで、22年からモデル撮影を自社で始めたが、商品のサイズ採寸やその表現、顧客へのレコメンドなどをどう行っていくかを考えており、これからの大きなテーマになるだろう」(おわり)

 
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