日本郵便は3月14日、実際に送付されたダイレクトメール(DM)の中から優れたものに対して表彰する「全日本DM大賞」の今年度の受賞作品を発表した。北海道産地直送センターが広告主の作品(制作者はプラナクリエイティブと富士フイルムビジネスイノベーションジャパン)である2作品が合わせて金賞・グランプリを受賞した。
 





　同表彰は2022年4月1日～23年9月30日までに制作されて実際に発送したDMを対象にしたもの。戦略性、クリエイティブ、実施効果の3つの観点から評価し、優れた作品を選出する表彰制度となっている。今回は703点の応募作品を対象にDMやマーケティングの専門家による審査を経て、グランプリ以下、合計27点の作品を選出した。

　グランプリを受賞した北海道産地直送センターでは年3回以上購入の顧客へ向けた「購入履歴反映ビンゴDM」と、購入単価の低い顧客に向けた「ほたて型DM」を制作。いずれもDMを入り口にセット商品や他の商品を勧めていき、既存顧客のリピート率を上げる施策となっていた。

　ビンゴDMでは対象顧客専属のコールセンタースタッフらの、顔写真入りの自筆メッセージを載せた感謝状と、対象顧客の2年分の購入履歴から導き出した商品を縦・横・斜めに配置した「ビンゴカード」を同封。既存DMにおいて過去最高の受注率32・2%を記録。ほたて型DMは、人気のほたてとのセット商品を勧める案と、ほたて以外の別商品を単品で勧める案でABテストを実施。DM・アウトコール・ECの相乗効果で前年最高時のレスポンス率3・1%から5・6%へとアップし、顧客単価が2倍以上になった。

　同じく金賞となったのはアシックスジャパンが広告主(同富士フイルムビジネスイノベーションジャパンとフュージョン)である「ブランド40周年・エンゲージメントDM」。ロイヤル顧客層へは22ページの冊子、新規・継続・育成顧客層へはタブロイド版とターゲット別に出し分けて、ブランドに込めた「想い」を伝達。直営店とECで何度でも使える2000円オフのスペシャルクーポンを同梱したところ初動から反応が良く、ロイヤル顧客層は約41・2%のレスポンス、その他の顧客層も通常DMより高い反応となった。

　そのほか、通販関連での主な入賞作品としては、ポーラが広告主の作品(同フュージョン)である「前年比187%!開封体験でF3転換クロスセル成功!」が銅賞を受賞。薬用シワ改善化粧品「リンクルショット」の2回購入者をターゲットに、同社最高峰ブランド「B.A」のアイゾーンクリームのクロスセルを狙った内容で展開した。また、ニチレイフーズが広告主の作品(同イムラ)である「『はじめまして』の気くばりで、購買心をつかむDM」も銅賞を受賞。ヘルシーおかず直販サイトの「ニチレイフーズダイレクト」において、圧着DMの即時発送に変更し、初見の顧客に向けた情報を掲載することで迅速なアプローチと初回発注へのハードルを下げた。

　そのほか、ベルーナが広告主の作品(同イムラ)である「想いと体験を届ける!ファン化促進バースデーDM」は入選。「ゆったりとしたお買い物時間を楽しんでいただきたい」というメッセージを込めて、従来のクーポンに加えてほうじ茶を同封。ハガキから封書に変えるという取り組みや、DMの形状によって訴求内容がうまく機能した。