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ヤマトHD 長尾氏が新社長、山内社長は代表権のない会長に

2019年 2月28日 13:15

 ヤマトホールディングス(ヤマトHD)は2月21日、代表取締役社長に傘下のヤマト運輸の長尾裕社長が4月1日付で就任すると発表した(写真㊧)。山内社長は代表権のない取締役会長に就く。今年は同社の創業100周年に当たる年で、中期経営計画の最終年度でもあるが、この節目の年にグループの舵取りは長尾新社長体制に移行して行われていくことになる。15年から4年にわたり社長を務めてきた山内氏は、働き方をはじめとした各種改革の取り組み、ヤマトホームコンビニエンスの引越事業での過剰請求問題などグループが直面している課題が一段落を見せつつある中での退任となる。長尾氏に代わりヤマト運輸社長にはヤマトフィナンシャル社長などを務めてきた栗栖利蔵ヤマト運輸専務が就任し、またヤマトHDの木川眞取締役会長は取締役に就く。

 
 山内社長は会見で長尾氏の社長起用について「ヤマトのDNAをしっかりと持っていること、第1線の現場に精通していること、そして既存の考えや慣習に囚われない構築力によりチャンレジし実行していける能力があること」を挙げた。100周年を迎えた後の次の100年のヤマトグループの成長にスピード感をもって挑んでいける人物として長尾氏を後任としたという。

 2月上旬に社長就任の要請を受けた長尾氏は「期待感と責任感を感じている。山内と2人3脚で改革を進めてきたが、それを完結したい。これから先もお客様へ価値を提供し、信頼されるためにも、新たな成長戦略を打ち出さなければならないタイミングと考えている。次の100年に向け全員経営を実践していく」と社長就任への決意を述べた。

 長尾氏は15年4月にヤマト運輸の社長に就任。これまでに宅急便がネット販売市場の拡大に伴い、物量が急激に増加してドライバーに負担が重くのしかかっていたこを改善するために、働き方改革やデリバリー事業の構造改革に着手。宅急便の運賃の値上げや各種サービスの改変、荷受けの抑制など進めて、デリバリー事業の再構築に手腕を発揮してきた。

 ヤマトグループは19年が創業100周年の年。17年9月末に発表した中期経営計画の「KAIKAKU 2019 for NEXT100」において、続く次の100年の成長に向け「働き方改革」を中心に据えた上で、デリバリー事業の構造改革や非連続成長を実現するための収益・事業構造改革、持続的に成長していくためのグループ経営構造改革の3つの改革を進めてきた。

 山内社長が社長の立場でこの中期経営計画の過程を最後まで見届けるものと見られていたが、「新しい成長、新しい価値ということを考え、長尾に次を託した」(山内社長)という。

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 関連する役員人事は次の通り。

 ヤマトホールディングス
 (4月1日)取締役会長(代表取締役社長社長執行役員)山内雅喜▽代表取締役社長社長執行役員(取締役執行役員兼ヤマト運輸代表取締役社長社長執行役員)長尾裕▽代表取締役副社長副社長執行役員(専務取締役専務執行役員)芝﨑健一▽取締役(取締役会長)木川眞▽常務執行委員(執行役員兼ヤマトロジスティクス代表取締役社長社長執行役員)佐々木勉▽同(執行役員兼ヤマト運輸常務執行役員)田中従雅▽同兼ヤマトロジスティクス代表取締役社長社長執行役員(ヤマト運輸常務執行役員)小菅泰治▽常務執行役員(米国ヤマト運輸取締役会長)小杉武雄▽執行役員兼ヤマト運輸代表取締役社長社長執行役員(ヤマト運輸代表取締役専務執行役員)栗栖利三

 ヤマトシステム開発
 (4月1日)取締役会長(ヤマトホールディングス副社長執行役員)皆木健司
 長尾裕(ながお・ゆたか)氏 88年高崎経済大学卒、同年4月ヤマト運輸(現ヤマトHD)入社。09年4月TSS営業推進室長、10年4月執行役員関東支社長、13年4月常務執行役員などを経て、15年4月ヤマトHD執行役員兼ヤマト運輸代表取締役社長社長執行役員。17年6月ヤマトHD取締役執行役員兼ヤマト運輸代表取締役社長社長執行役員。1965年8月31日生まれ、53歳。

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 栗栖利蔵(くりす・としぞう)氏 83年横浜市立大学卒、同年4月ヤマト運輸(現ヤマトHD)入社。02年6月財務部長、05年4月グループ経営戦略本部部長、05年11月ヤマトHD財務担当シニアマネージャー、06年4月ヤマトHD執行役員、07年3月ヤマトマネージメントサービス代表取締役社長兼務、12年4月ヤマトフィナンシャル代表取締役社長社長執行役員兼務などを経て、17年4月ヤマト運輸代表取締役専務執行役員。60年9月29日生まれ、58歳。


長尾氏「社長就任要請は驚き」

【山内・長尾両氏との一問一答】

 社長交代に関する山内社と長尾社長の会見における一問一答(抜粋)は以下の通り。

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 ――宅急便の運賃値上げで業績が回復し、荷受け量も増加に転じるなど環境が改善しているところでの社長交代の理由は。

 山内ヤマトHD社長(以下敬称略) そこは通過点に過ぎない。成長に資するスピードを持つこと、そして新たなチャレンジをしないといけない。そこで、新たな価値を生み出す構築力を持っている長尾に。

 ――15年の山内社長が就任した際、年齢的に若く東京オリンピックも含めて陣頭に立ってもらいたいと木川会長が会見で述べていた。今回は60歳前での社長退任となるが。

 山内 確かに4年前に木川からバントを受けて、長く続けるという話だったが、同時に年齢ではないということも話していた。新しい成長、新しい価値という考えからであり、基盤強化の継続を行って、次の成長ということで長尾に社長を引き継ぐ。

 ――社長就任要請はどのようなタイミングで言われ、また、どう感じたか。

 長尾ヤマト運輸社長(以下敬称略) 2月初旬に山内から話があり、所感としては運輸の社長として2人3脚でここまで来ていたので、このタイミングには驚いた。その思いを聞かされて責任の重さを感じたが、山内の意思を受け止めた。

 ――働き方改革の成果は出ているとのことだが、夕方に宅急便の配達を専門に受け持つアンカーキャストの要員確保は遅れているとも聞く。

 長尾 アンカーキャストは社内に浸透させながら、採用活動を行っていこうということでスタートを遅れさせた。現場の管理者にコンセプトを理解してもらった上で取り組まないと、拙速になると考えた。浸透のために時間を要した。直近では順調で、3月末に5000人を見通している。

 ――17年4月からデリバリー事業で荷受けを抑制し、他社にシェアを奪われているが、今後、シェアを取り戻すのか、それとも採算性を重視するのか。

 長尾 シェアだけをKPIにすることはない。世の中で需要のあるものに、どう応えるかが重要であり、すべて宅急便であるべきとは考えない。宅急便が始まったときとは環境が変化していて、ライフスタイルも大きく変わっている。宅急便が環境にフィットしているのかどうか、社内で再検討している。さらに高度化していく必要もあり、さまざまなニーズがある中で、新たな提案をしていかないといけないと考える。新しいサービスを含めて、シェアについて検討していき、シェアが安全に応えるということであれば、それは重要となるだろう。そして採算性は担保しないといけない。

 ――宅急便の荷受け拡大に関してどれくらいの規模にしていくのか。

 長尾 4月以降の計画について最後の詰めを現在行っている。ラストワンマイルのサービス力、人的パワーがないと提供しづらい。SDを適切に増やし、同時にアンカーキャストの目標の1万人、このラインで進める。ラストワンマイルまでの途中の仕組みであるターミナルにおける仕分けの労働力を確保するのが難しいが、新しい技術・テクノロジーで省人化できる領域と考えている。いろいろな実験を始めている。ラストワンマイルの部分に集中できる形にしていきたい。何人規模というのは算定中。

 
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