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4年後、100億円の事業に育成【OASYSグループの関谷CEOに聞く ワークウェアスーツの成長戦略】 独自素材で商品開発、認知拡大へ店舗も強化

2020年 4月13日 13:30

 オアシスライフスタイルグループは、グループ会社のオアシススタイルウェアが2018年3月に販売開始したスーツに見える作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」が好調だ。水道工事を手がけるグループ会社の知見を生かし、作業しやすいストレッチ性や防水・速乾、多収納などの機能性と、どこに出ても恥ずかしくないフォーマル感を備えた次世代機能性スーツとしてのポジションを得ている。グループを束ねる関谷有三CEO(顔写真)に、直営ポップアップも始めたWWSの成長戦略などを聞いた。※記事内容は4月6日時点のもの







 ――アパレルではない会社がワークスーツを作った。

 「当社グループは水道工事会社からスタートしていて、昔ながらの作業着はダボッとした服しかないことに違和感があった。一方でスーツはすごく堅苦しく、働き方改革が叫ばれる今の時代にフィットした服を作りたいという思いがあり、『スーツに見える作業着』のコンセプトでWWSを作った。純粋に水道工事の現場で使える作業着を作りたいと思い、生地まで開発した」

 ――商品開発で大事にしていることは。

 「売れそうとか、売価から逆算した物作りは一切していない。現場に必要な機能や品質をベースにした物作りで、良くも悪くもマーケティング理論からは外れている。ダイソンの掃除機やバルミューダのトースターのように、納得いく品質の物作りを大事にしていて、ある意味でコストや市場調査を度外視している」

 ――WWSの前期(20年2月期)売上高は前年比3倍の約3億円に拡大した。

 「一般消費者向けのECと、ユニフォームとしての法人向け販売、百貨店やセレクトショップなどへの卸という3チャネルがあり、売上高構成比は2対2対1くらい。強みはすべてのチャネルで同じ服が売れていることと、EC比率が4割程度と高いことだ」

 ――前期は百貨店やセレクトショップでの取り扱いが増えた。

 「目的来店のお客様が非常に多く、百貨店さんやセレクトさんからは、人を呼び込む力のある商品として評価してもらえている。機能系スーツや洗えるセットアップは数多くあるが、水道工事会社が作ったというストーリーが共感を生んでいる。今は商品にまつわるストーリーに共感できないとモノが売れない時代で、WWSはその部分が圧倒的に強い」

 ――認知度は。

 「業界内の知名度は高まっているが、一般にはまだまだ知られていないため、商品を手にとってもらう『元年』としたい。これまではECと法人販売が主販路だったが、4月6日に初めての直営ポップアップをニュウマン新宿に出した(画像)」

 ――今期はWWSで10億円を掲げる。店舗展開は。

 「直営ポップアップの第2弾としてグランフロント大阪に4月29日から約2カ月半出店する予定だ。4月1日にはジェイアール京都伊勢丹、4月17日にはユナイテッドアローズさんの『ビューティ&ユース』の主要5店舗から、4月22日には日本橋高島屋でも取り扱いが始まる予定だ」

 ――ニュウマンでは女性向けの商品を強く打ち出している。

 「従来は『作業着』というキャッチフレーズもあってメンズが強かったが、女性のお客様が増えていて、機能性の部分にも関心が高い。今後はとくにウィメンズに力を注ぐ」

 ――商品面は。

 「オリジナル生地の『アルティメックス』を使ったワンピースなどを女性向けの新ラインとして商品化し、ニュウマン新宿でお披露目した。今後は同じ素材を使ったバッグなど、働く人に向けた商品の裾野を広げていく」

 ――品ぞろえについての考え方は。

 「独自生地を使った差別化商品を作っていくが、無駄に品番を増やさず、作りたい商品をひとつずつ丁寧に作っていく。品ぞろえはあればあるほど良いという時代もあったが、本当に納得のいく商品だけをピンポイントで展開する方がいまの顧客心理と合致する」

 ――EC販路は。

 「手にとったことのない消費者が多いため、30日間完全返品保証をしている。何度着てもどんな理由であっても納得がいかなければ返品送料も含めて無料で受ける。今後も自社ECでは継続する。今は自社ECの割合が大半だが、他の売り場も増やしていきたい」

 ――中期計画は。

 「WWSを展開するオアシススタイルウェア単体で24年2月期に売上高100億円を掲げている。昨年9月にユナイテッドアローズ名誉会長の重松理さんに個人としてオアシスライフスタイルグループの顧問に就任頂いた。今は重点的にアパレル部門で力を借りていて、強化中の店舗展開や商品作り、生産管理など幅広い領域で意見をもらっている。重松さんからは『WWSはこれからのスタンダードの服になる。世に広めるべき』と言われている」

 「グループでは水道工事事業と、タピオカミルクティーで知られる『春水堂』の日本展開を行う飲食事業もあり、衣食住にかかわっている。今はアパレル部門の売り上げが一番小さいため、食と住に並ぶ3つ目の柱に育てていきたい」

 
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