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「化粧品、上半期厳しい」【鶴見知久社長に聞く スクロールの成長戦略②】 ソリューションは営業強化

2020年 6月 4日 07:57

 前号に続き、今後の事業戦略などについて、鶴見知久社長(=写真)に聞いた。

 ――化粧品、健康食品の「健粧品事業」は厳しい数字だった。

 「これまで、化粧品に関しては広告費を投入してマスプロモーションを行ってきたわけだが、去年1年はそれを抑えて既存顧客に注力してきた。これに関しては計画通りに進んでいるが、一方で大々的に広告を展開していた際に大量に仕込んだ商品が在庫として滞留しており、そこが悩みのタネだった。これを期末に一掃したので、態勢は整ったのではないか」

 ――豆腐の盛田屋は中国人向けのインバウンド需要で売り上げを伸ばしてきたが、需要が落ち着いてきた中で新型コロナウイルス問題が発生した。また、店舗向け卸に関しても厳しい状況だ。

 「インバウンドが新型コロナ以前から伸び悩んでいた中で、こういう事態となった。インバウンド需要は、この先1年か1年半は元に戻ることは無いだろうから、当面は注力することはない。しばらくはネット販売を通じ、既存顧客向け販促を強化していきたい。店舗向けに関しては、一部で再開した店舗はあるが、緊急事態宣言が出る前から、店頭でのタッチアップができなくなっていたほか、商品のテスターも撤去されており、お試しをしてから買える状態ではなかった。緊急事態宣言が出てからは売り場自体が無くなってしまったが、店舗が再開されてもすぐには需要は戻らないだろう。やはりネットでのプロモーションを強化せざるを得ない」

 ――今期の化粧品子会社の売上高はかなり落ちそうだ。

 「そうなるだろう。特に上半期は厳しい」

 ――現状の新規顧客開拓策は。

 「ネットでのプロモーションは行っているが、新聞やテレビを使った販促はほぼやっていない」

 ――ソリューション事業では、茨城県つくばみらい市に「スクロールロジスティクスセンター(SLC)みらい」を新設した。今後の成長戦略は。

 「ここ数年は浜松市を中心とした物流センターの充足率が高く、”売れるスペース”があまり無かった。安定的な事業運営をしていたということではあるが、新センターの開業で事業を拡大する余地ができた。主に関東圏の企業を対象として営業を強化していく」

 ――コロナ禍を受けて、ネット販売へのシフトが加速するとの見方もある。スクロール360が展開するサービスの強みをどう打ち出していくか。

 「当然、物流代行は強みとなるわけだが、これからはクライアントの売り上げに貢献できるようなメニューや、コスト低減・効率化ができるメニューを強化し、受注から出荷までをサポートする。ウェブを主軸としている通販企業に対し、スクロールが持っている単品系通販のノウハウを提供したり、既存客向けのリテンションマーケティングを支援したり、といったメニューも加えながら、トータルソリューションを提供していく。コンサルティング関連のサービスも立ち上がっているし、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスも踏まえているほか、マーケティング・オートメーションツールを開発している。ネット販売と同じく競争の激しい分野なので、当社の強みをより打ち出す形の営業戦略をとっていくことになるだろう」

 ――新規事業として展開してきた旅行事業は新型コロナの影響が直撃している。

 「いつか春が来ると信じて耐えるしかない。やはり1年か1年半は需要が元に戻ることはないだろう。消費者の行動がどう変わるかという部分は現時点では予想しにくいが、コンテンツを強化していきたい。海外旅行は当分ニーズが無いだろうし、外国人の日本への旅行もしばらくは無いだろうから、日本人が安心して動ける範囲での観光、つまり在住地域近隣での観光から始まっていくと思われるので、そういった需要に対応したコンテンツを準備している」

 ――旅行など体験型の”コト消費”に関する事業を強化していくとのことだったが、今後の方針は。

 「当社は物販が強かったわけだが、旅行や保険などのサービスが提供できるようになれば、提案力の厚みが増す。買収したトラベックスツアーズのような会社の機能を活かしながら、既存事業とのシナジーで伸ばしていきたい」(つづく)


 
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