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アイケイ 直販事業の強化に本腰、前期のTV通販は大幅増

2021年 7月22日 10:00

 化粧品や食品などの企画・販売を手がけるアイケイでは、従来から取り組んでいる卸販売というセールスマーケティングの業態だけでなく、テレビ通販やECといった直販のダイレクトマーケティングの業態や、主に中国をターゲットとした海外事業へと多角化を図っていく。

 これに先立ち、今期(2022年5月期)よりセグメント名称を変更。通販や実店舗などで直販事業を行う「BtoC事業」を「ダイレクトマーケティング事業」に、生協など通販企業を含めた企業向け卸の「BtoBtoC事業」は「セールスマーケティング事業」に、音声通話録音システム関連事業の「その他」は「ITソリューション事業」にそれぞれ名称を変えている。

 まず、これからのテレビ通販に関しては、ターゲット層は50代~70代であり、今後数年間も増加の傾向があることを予想。若年層のテレビ離れが伺えるものの、メインターゲット層の需要は継続すると見込んでいる。放映時間に関しては年々拡大傾向にあり、前期は第3四半期でスポットの放映枠を増加したことから、通年で前年比5・5%増の6310時間となった。PB商品の比率も上昇している。

 なお、テレビ通販の前期売上高については温熱ベストの「スピードヒート」(画像)、脚立の「ステップエイト」、自動で膨らむベッドの「エアーヨーン」がヒットしたことで、過去最高となる同33・6%増の64億2200万円となった。今期については前年比16・1%増となる74億5900万円を見込んでいる。

 重点戦略として、年間10~12アイテムのテストマーケティングを行ってヒット商品を創出することを計画。スピードヒートについては、今秋に新シリーズを投入する計画で、前年を上回る放送量を予定している。

 また、ECに関しては、今期より専属の部署を設立して独自のプロモーションや商品開発を開始。テレビ通販の受注ツールとして最適化を図る考えで、放映中の商品においてEC独自のプロモーションを行うほか、楽天、アマゾンなどでの拡販も図る。秋頃には新商品の投入も開始していく。今期のEC売上高については同4・9%増の13億円を見込んでいる。

 実店舗販売ではコスメブランドの「SKINFOOD」に加え、昨年より始めた韓国コスメ専門店の「OLIVE YOUNG」の販売にも注力し、人の流れが回復傾向にある中で実店舗売り上げの拡大を図っていく。加えて、ウェブとの相互送客や韓国コスメ複合ブランド業態のテスト販売を開始することも重点戦略としている。今期の売上高は同26・3%増の10億1700万円を見込む。

 なお、今期の「ダイレクトマーケティング事業」全体では、テレビ通販への投資と実店舗での売り上げ増などを勘案して今期は同15・4%増の97億7600万円を計画している。

 「セールスマーケティング事業」に関して、前期は主に食品ジャンルが拡大したが、今後は雑貨や化粧品ジャンルに需要が移行すると想定。

 特にテレビ通販とのシナジーを図り、テレビ通販でのヒット商品を軸に生協や実店舗への卸販売を拡大し、PB商品の売り上げ増と利益拡大につなげていく。今期の生協・通販企業向け卸の売上高は同3・5%増の97億8100万円を見込んでいる。

 実店舗への卸先数に関しては現状を維持して、「卵殻膜」からつくったエキスを配合したスキンケアシリーズの「Cocoegg」や「除毛ミルク」といったメイク以外のジャンルの拡販を実施。テレビや生協でのヒット商品を実店舗へと直接卸して、グループ内のシナジーを図る。今期の店舗向け卸の売上高は同9・6%増の16億円を見込む。

 そのほか、海外については今年1月より、担当役員が中国本土に常駐して、中国子会社の建て直しに着手。現地の大手仮想モールである「T―mall」や「RED」といった販路でのプロモーション強化によるEC販路の改革を行う。今期の海外向けの売上高は同48・6%増の4億2200万円を見込む。

 「セールスマーケティング事業」全体では、コロナ特需に落ち着きが見られるものの、小売店舗向け卸の売り上げ拡大を織り込んで、今期の売上高はほぼ横ばいとなる同0・6%減の118億300万円を計画している。
 
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