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「ネットに特化したサービスが強みに」【エクスプライスの稲積憲社長に聞く 上場への次の一手は?㊤】 量販店やアマゾンとは違う形で価値提供

2021年 9月 2日 12:30

 家電ネット販売のエクスプライスでは6月、新社長に稲積憲氏が就任した。同氏はNHN Japan(現LINE)の執行役員やNHN PlayArt(現NHN Japan)の社長、トランスコスモスの取締役専務執行役員を歴任。エクスプライスの2021年6月期売上高は、前期比約20%増となるなど業績は好調に推移している。新規上場を見据える同社の舵取りを任された稲積社長に今後の戦略を聞いた。


 








 ――社長就任の経緯は。

 「エクスプライスの株主は100%投資ファンドだが、ファンドの別の投資先の社長が知人だったことから、当社を紹介され、社長に就任することになった。物販は初めてだが、EC支援事業にはこれまでも関わってきた。当社の強みは、優秀なバイヤーによる仕入れ力と、それときちんと値付けして売る販売力だ。彼らをサポートしてくとともに、私の得意分野である『顧客接点』と『経営管理』分野に取り組む。これまで当社が培ってきた強みと私の強みを組み合わせていく」

 ――現状の家電EC市場をどうみるか。

 「コロナ禍以前からEC化が着実に進んできた分野だ。家電量販店の成長率と当社のこれまでの成長率を比べると、当社の成長率の方がはるかに大きい。それは、当社の強みもさることながら、顧客の購買ニーズがECに移りつつあり、家電のECが伸びていることが大きい。そこに新型コロナの感染拡大があり、EC化がさらに進んだ」

 ――競合も非常に多い分野だ。

 「ヨドバシカメラやビックカメラといった大手家電量販店がECを強化しており、売り上げも非常に大きい。知名度という点で当社よりもはるかに上の存在だが、当社は店舗を有していないのでコスト構造が全く違う。固定費が少ないということもあり、それをサービスという形で還元できるのが有利な点であり、今後も強みとしていけるのではないか。アマゾンに関しては、競合というよりも、当社も活用するプラットフォームという要素が強いが、もちろん家電も多く販売している。ただ、家電の設置や工事など、付帯事象に関しては当社に強みがあると思う。家電を購入し、使っていくという点では、当社の方が体験価値という点で高いのではないか。家電量販店やアマゾンとは違った形で顧客に価値を提供しているし、これからも進化していくのではないか」

 ――家電量販店もECにおいて価格面で攻めてきており、競争は激しい。

 「4月に『MOA』から『エクスプライス』に社名を変更した。『プライス』は価格を意味しており、『エクス』はエクストリーム、つまり究極。『競争力のある価格と、家電通販として究極のサービスを目指す』という思いを込めている。価格だけではなく、安心して購入し、快適・便利な体験をしてもらうことが大事だ。品揃えだけではなく、事前の購入相談やレコメンド、購入後の設置・工事のスムーズさ、ライフスタイルに合わせたトータルでの提案などを、ネットのプレイヤーとして届けていくことが大きな差別化ポイントになってくると思う。シンプルに、ネットに特化した形でサービスを提供するというのは、家電量販店にはできないことだし、強みになるはずだ」

 ――エクスプライスの強みとは。

 「顧客満足度が高いということだ。もちろん『エクス』の部分は大きく進化させていかなければいけないが、現状でも他社と比較した際の満足度は相対的に高い。ブランドの知名度がまだ高くない部分をカバーできている。もう一つがバイヤーによる仕入れ力だ。彼らが良い売り方をしてくれる点も大きい」

 ――現在、主要な家電メーカーとは取引はあるのか。

 「メーカー、メーカー系商社、メーカー指定商社を含めると、ほぼすべてのメーカーと取引口座を開いている」

 ――以前はメーカー以外からの仕入れが多く、そのために安売りできていた部分が大きい。メーカーとの取り引きが増えると、ボリュームが大きい家電量販店よりも仕入れ価格の面で不利になるのでは。

 「そこをコスト削減でカバーするのが当社の勝ちパターンだと思っている」

 ――具体的には。

 「最近の取り組みでいえば、基幹の物流センターを移転した。これまで複数階にまたがっていたものをワンフロアに集約したほか、同じ敷地には佐川急便の営業所もあるので、時間やコストを削減できる。設備投資をしながら生産性を上げていきたい」(つづく)


 
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