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公正取引委員会 楽天「送料無料」の審査打ち切り、「参加強制」は独禁法疑い

2021年12月 9日 10:30

 公正取引委員会は12月6日、楽天グループが仮想モール「楽天市場」に昨年3月導入した、送料無料となる購入額を税込み3980円で全店舗統一する「共通の送料込みライン」が独占禁止法違反(優越的地位の乱用)に当たる恐れがあるとして続けてきた審査を終了すると発表した。楽天が自主的な改善措置に応じたことによるものだが、公取委では「優越的地位の乱用に該当する事実はあった」との見解を示している。
 
 同施策は当初、全店舗への一律導入を予定していたものの新型コロナウイルスの感染拡大などを受けて、見送った。出店者が任意で参加・不参加を選べる形とし、その後も楽天では「強制導入はしない」などと説明してきた。

 公取委では昨年2月、楽天に対して独禁法違反容疑で立ち入り検査を実施、さらには東京地方裁判所に同施策の一時停止を求める「緊急停止命令」を申し立てた。楽天の方針転換を受け、緊急停止命令は取り下げたものの、その後も審査は続けていた。

 公取委によれば、楽天のECコンサルタント(ECC)が「楽天市場内検索において、参加店舗の取扱商品を優先して上位に表示する仕様に変更するため,不参加店舗の取扱商品は上位に表示されなくなる」「参加店舗の取扱商品に絞り込む検索を行ったユーザーの端末では、その状態を標準設定とする仕様に変更するため、不参加店舗の取扱商品はユーザーが設定を解除しない限り表示されなくなる」と示唆していた事例があったほか、さらには「次回の契約更新時に退店となる」「参加店舗の売り上げを伸ばす大型キャンペーンを今後実施する」と示唆した事例も確認された。こうした例は「それなりにあった」(第二審査長の山口正行氏)という。

 こうしたECCの言動により、やむなく施策を導入した店舗の中には、送料分を商品価格に十分に上乗せできず利益が減少した店舗や、上乗せしたところ客離れが生じ利益が減少した店舗があったという。

 山口第二審査長は「参加を余儀なくされた店舗の多くが不利益を被ったのではないか」と指摘。優越的地位の乱用に該当し、独禁法に違反する疑いがあるとした。その上で「店舗に参加を強制させないこと、さらにはECCの言動で参加せざるを得なくなった店舗に対しては、施策をやめても検索等で不利にならないこと、施策をやめること自体を制約しないこと」(山口第二審査長)を楽天に求めた。

 これを受けて楽天では「送料込みラインへの参加・不参加は出店事業者の意思を尊重する」「不参加店舗を不利にするようなことはせず、出店事業者に示唆しない」という方針をECCや出店者に周知すると申し出た。さらに、ECCが方針に違反する場合の処分規程を整備するほか、ECCの違反は「楽天市場苦情受付窓口」において受け付けるという。

 楽天では同日、こうした方針を店舗に告知しており、年内には改善措置を講じる。公取委では、改善措置を実施した場合は「出店事業者の選択の任意性が確保され、独禁法上の問題は解消される」とする。

 現在、楽天市場では、同施策に参加する店舗で買い物をした際に、ポイント付与率が向上するキャンペーンをセール時に実施している。こうした施策に関しては「現行キャンペーンでは、ただちに問題にはならないと考えている。ただ、『楽天スーパーセール』や『お買い物マラソン』のような大型セールに、送料込みライン非導入店舗が参加できないようなことがあれば、店舗に大きな不利益が生じるので、『送料込みラインへの参加強制』と捉えることになるだろう」(同)という。

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 楽天では同日、公取委による審査終了を受けてコメントを発表。「公正取引委員会からの指摘を真摯(しんし)に受け止めるとともに、店舗やユーザーの声にも耳を傾け、今後も施策の改善に努める」とした上で、「(送料込みラインは)楽天市場と出店店舗の継続的な成長を実現する重要施策であると捉えており、各店舗には今後も丁寧な説明を行っていく」とした。

 独禁法に詳しい弁護士は「楽天は『送料込みラインで店舗の売り上げは伸びる』と従来から主張しており、実際に伸びたはずだが、それが送料無料によるものかコロナ禍を受けた”巣ごもり需要”によるものなのか、公取委は判断に苦しんだのではないか」と指摘。「楽天の主張を確かめるために時間を置いた結果、楽天と出店者が『ウィンウィン』になってしまい、施策自体の違反を認定できなくなってしまったのだろう。そのため、違反の恐れがあることを要件とする『確約手続』も使えなかった」とみる。

 また、任意団体「楽天ユニオン」の勝又勇輝代表は「『送料込みラインの強制は独禁法違反の恐れがある』と認定されたことは評価できる。今後は楽天が示した営業方針が守られるかどうかが問題なので、公取委に監視してもらいたい」とコメントした。
 
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