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スクロール 通販支援事業に資源集中、新中計を策定、ECは独自商品強化

2023年 5月18日 12:00

 スクロールでは、ソリューション事業に注力する。2023年3月期における同事業の業績は、売上高が213億5900万円、セグメント利益は7億2500万円だったが、3年後の26年3月期には360億円(23年3月期比で約70%増)、セグメント利益は28億円(同約2・9倍)を目指す。同社は生協事業を中心とした通販事業が主力だが、ソリューション事業に経営資源を集中することで柱の事業とする。

 
 新たに策定した2024年3月期~26年3月期の中期経営計画で明らかにされた。26年3月期連結売上高は950億円(23年3月期比で17%増)、連結経常利益は80億円(同29%増)を見込む。ソリューション事業の連結に占める割合は、売上高が36%(23年3月期は25%)、経常利益は35%(同12%)となる見通し。

 同社では通販企業から「ダイレクトマーケティングソリューション(DMS)カンパニー」への転換を標ぼうしている。鶴見知久社長は「DMSとは、ダイレクトマーケティングに関する知見やノウハウを駆使し、顧客のニーズに応えること。ソリューションに経営資源をシフトすることを示している」とする。

 まず、スクロール360が手掛ける物流代行に関しては、坪あたり限界利益の改善や、再現性の高い営業手法の構築による新規顧客獲得数の増加を図る。鶴見社長は「当社の物流倉庫はB〓Cに特化しているほか、リピート通販を得意にしている。後者に関しては『この顧客には何を同梱するか』というマーケティング側の指示を物流の現場が実行できる。これは、事業への理解がないとできない。さらに、急に注文が殺到した際でも人員の手配に対応しやすい」と同社が手掛ける物流代行の強みを説明する。物流代行の26年3月期売上高は175億円(23年3月期は118億2800万円)を見込む。

 また、スクロール360子会社のキャッチボールによる決済代行事業は、サービスや営業力を強化。利益率の高い事業であることから、市場シェアを拡大することでソリューション事業全体の利益率工場につなげる。同社子会社のもしもによるマーケティングサポート事業でもアフィエイトサービスの強化を進める。

 一方、通販事業については大きな成長が見込めないことから、データマーケティングにより既存事業の効率化を図るほか、地域の生協(単協)ごとのニーズにマッチした商品やサービスの提供を行う「ソリューションベンダービジネス」の確率を目指す。

 収益性が悪化しているeコマース事業については、オリジナル商品の展開や直貿、商品戦略の再構築により原価率低減を進める。キャンプ用品のナチュラムにおける「ハイランダー」などのオリジナル商品を拡充することで、26年3月期のオリジナル商品売り上げ比率を15・5%(23年3月期は7・1%)まで拡大する。また、ブランド品を扱うAXESにおいては、リユースなど新たなビジネスモデルを構築していく。

 鶴見社長は「eコマース事業は価格競争になりやすい商材を多く扱っているので、『儲からない売り上げを取りに行かない』という考え方に変える」と述べた。26年3月期における同事業売上高は200億円(同200億4200万円)、セグメント利益は5億円(同3100万円)を見込んでいる。

 また、化粧品・健康食品・旅行のHBT事業は統廃合を検討する。
 
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