楽天グループが提供している、仮想モール「楽天市場」有名店舗が講師となり、出店店舗にネット販売に関するノウハウを伝授するプログラム「NATIONS(ネーションズ)」が10周年を迎えた。ネーションズのこれまでや今後について、コマース&マーケティングカンパニーマーケットプレイス事業楽天ネーションズ課の千田拓也シニアマネージャーに聞いた。(報道陣との一問一答から要約・抜粋)
――ネーションズの10年を振り返って
「私はプログラムが開始した半年後の2016年10月から関わっているが、当初は担当部署も少人数だった。そこから6000を超える店舗がプログラムに参加するまで大きくなったわけで、10周年を迎えられたことはシンプルに嬉しい。ネーションズは売り上げを増やすための短期集中プログラムだが、それだけではなく、講座を卒業した店舗のコミュニティーをどう維持するか・盛り上げていくかも大事になってきた」
――プログラムはどのように変わっていったのか。
「当初は『月商100〜500万円の店舗の月商を半年以内に2倍にする』ことを目標に作られた。ただ『月商100万円なければ参加できないのか』という声があり、月商20万円を超えたことがある店舗が月商100万円を目指す『ベーシック』を作った。その頃は『直接顔を合わせる』効果への自負があったのだが、コロナ禍でリアル講座では継続できなくなり、やむなくオンライン講座に移行した。そこでしっかりと成果が出たので、現在はリアルとオンラインを併用している。現在は経営者向けの『スーパーアドバンス』やQCサークルを学ぶプログラム、ブランディング講座、海外店舗向け『グローバル』も展開している」
――この10年で目標達成に必要なことは変わっていったのか。
「店舗運営する上で大事なことはあまり変わらないのではないか。『当たり前のことを当たり前にやる』、とにかく泥臭くやることが重要。当たり前のことでも徹底できていない店舗は多いので、基礎だと馬鹿にせずに取り組むことが大事。そこにプラスアルファで、定期購入やソーシャルギフト、生成AIなど新しい手法を取り入れていくべきだ。ただ『当たり前』のレベルが10年前より上がっているのは事実」
「特に生成AIについてはしっかりと向き合わないといけないので、講座内容を全て見直した。例えば、事前にプロンプトを共有した上で、宿題には必ず生成AIを活用してもらう。そうすることで、本番の講座において、従来割いていたワークの時間をディスカッションに使うことができるようになった」
――運営側の苦労は。
「当初は1人のリーター店舗が5店舗をみる形だったが、今は1人が25店舗教えることもある。もちろん、少人数の方が成果は出やすいわけだが、当社としてはサービスを拡大しないといけない。『クオリティーを担保しながら多くの店舗に参加してもらう』ことに腐心してきた」
――リーダー店舗の負担も大きい。「自社のノウハウを教える」ことに消極的なケースもあったのでは。
「直接会社に赴き膝を突き合わせてサービスの理念を説明し、助力をお願いした。皆さん最後には『楽天にはお世話になったから恩返ししたい』と言って参加してくれた。『コミュニティーを大事にする』という文化が楽天市場にはある」
――成果を出す店舗の共通点は。
「1つは実行スピード。例えば、成功店舗は勉強会で学んだことを当日、遅くても翌日には試してみる。こういう姿勢の店舗は漏れなく目標を達成している。もう1つは他店に事例共有やアドバイスを積極的にする店舗。『チームでの目標達成』にコミットしている人には自然と情報が集まってくるので、結果的には目標達成につながるようだ」
――参加者は他店舗とのノウハウ共有に抵抗感を抱かないのか。
「チームビルディングを大事にしていることが大きいのではないか。例えば、1回目の講座はノウハウを学ぶ以前に『お互いどんな人なのかを知る』ことに重点を置いている。こうした店舗同士の交流が、ノウハウを教え合うことへの抵抗を無くしているのではないか」
――ネーションズが楽天市場における新機能や新サービスの理解を深めるきっかけにもなっているのでは。
「当社が店舗同士のコミュニティーを大切にしている理由でもある。当社が大事にしていることを大事にしてくれたり、新しいことを始めようとしたときに一緒に事例を作ってくれる。味方がたくさんいるような感覚」
「一方で、当社の社員が伝えられることには限界があると思っている。例えば、新しい施策に対して不安を抱く店舗は少なくないが、実績のあるリーダー店舗から、施策の狙いや上手な活用法が聞くことで、よりスムーズに情報が伝わる。楽天のフィルターを通さない状態で情報を受け取れることへのメリットは大きい」
――講座を卒業した店舗へのフォローは。
「卒業後のコミュニケーションは全て店舗に丸投げするということはなく、当社でも『同走会』という勉強会を全国で開催している。当社がきっかけでできた6000店舗のコミュニティーに対し、当社としてもしっかりと向き合っていきたい。同走会はネーションズ修了店舗であれば参加可能だ」
「地域に根ざしたコミュニティーも大事だと思っている。ネーションズのチームを超えて、同じ県に住んでいる担当者同士、対面のつながりを作ることも考えたい」
――ネーションズが楽天市場の流通額底上げにつながっている実感は。
「それ以上に、楽天市場に対して前向きに取り組んでいる店舗が増えた感触がある」
――今後の10年に向けて。
「新しい仲間を作ることに必死に取り組んできた10年間だが、気づけば本来の『短期集中プログラム』ではなく、卒業した店舗のコミュニティーを『ネーションズ』と呼ぶようになってきている。なので、そうした店舗が楽天市場で頑張り続けるためのモチベーションや関係性を維持することにコミットしなければならない。もちろん、新規店舗も増やしたい。『1人で悩んでいる』『何をすればいいか分からない』という店舗が楽天市場から無くなるまで、しっかりとサービスを届けていきたい」
「トピックとしては、やはり生成AIは重要だ。今年、ネーションズに『AIコミュニティー』を作った。AIに明るい店舗がエバンジェリストとなり、オンラインで勉強するというものだ。店舗を主役にした『AIハッカソン』もリアルで開催したいと思っている」
「さらには、経営や事業承継などについてもアドバイスし合えるコミュニティーへと進化させたい。最終的には、楽天市場やECを超えて、ビジネス全体、さらには参加者の人生をサポートし、皆で支え合うコミュニティーにしていければ」
楽天グループが提供している、仮想モール「楽天市場」有名店舗が講師となり、出店店舗にネット販売に関するノウハウを伝授するプログラム「NATIONS(ネーションズ)」が10周年を迎えた。ネーションズのこれまでや今後について、コマース&マーケティングカンパニーマーケットプレイス事業楽天ネーションズ課の千田拓也シニアマネージャーに聞いた。(報道陣との一問一答から要約・抜粋)
――ネーションズの10年を振り返って
「私はプログラムが開始した半年後の2016年10月から関わっているが、当初は担当部署も少人数だった。そこから6000を超える店舗がプログラムに参加するまで大きくなったわけで、10周年を迎えられたことはシンプルに嬉しい。ネーションズは売り上げを増やすための短期集中プログラムだが、それだけではなく、講座を卒業した店舗のコミュニティーをどう維持するか・盛り上げていくかも大事になってきた」
――プログラムはどのように変わっていったのか。
「当初は『月商100〜500万円の店舗の月商を半年以内に2倍にする』ことを目標に作られた。ただ『月商100万円なければ参加できないのか』という声があり、月商20万円を超えたことがある店舗が月商100万円を目指す『ベーシック』を作った。その頃は『直接顔を合わせる』効果への自負があったのだが、コロナ禍でリアル講座では継続できなくなり、やむなくオンライン講座に移行した。そこでしっかりと成果が出たので、現在はリアルとオンラインを併用している。現在は経営者向けの『スーパーアドバンス』やQCサークルを学ぶプログラム、ブランディング講座、海外店舗向け『グローバル』も展開している」
――この10年で目標達成に必要なことは変わっていったのか。
「店舗運営する上で大事なことはあまり変わらないのではないか。『当たり前のことを当たり前にやる』、とにかく泥臭くやることが重要。当たり前のことでも徹底できていない店舗は多いので、基礎だと馬鹿にせずに取り組むことが大事。そこにプラスアルファで、定期購入やソーシャルギフト、生成AIなど新しい手法を取り入れていくべきだ。ただ『当たり前』のレベルが10年前より上がっているのは事実」
「特に生成AIについてはしっかりと向き合わないといけないので、講座内容を全て見直した。例えば、事前にプロンプトを共有した上で、宿題には必ず生成AIを活用してもらう。そうすることで、本番の講座において、従来割いていたワークの時間をディスカッションに使うことができるようになった」
――運営側の苦労は。
「当初は1人のリーター店舗が5店舗をみる形だったが、今は1人が25店舗教えることもある。もちろん、少人数の方が成果は出やすいわけだが、当社としてはサービスを拡大しないといけない。『クオリティーを担保しながら多くの店舗に参加してもらう』ことに腐心してきた」
――リーダー店舗の負担も大きい。「自社のノウハウを教える」ことに消極的なケースもあったのでは。
「直接会社に赴き膝を突き合わせてサービスの理念を説明し、助力をお願いした。皆さん最後には『楽天にはお世話になったから恩返ししたい』と言って参加してくれた。『コミュニティーを大事にする』という文化が楽天市場にはある」
――成果を出す店舗の共通点は。
「1つは実行スピード。例えば、成功店舗は勉強会で学んだことを当日、遅くても翌日には試してみる。こういう姿勢の店舗は漏れなく目標を達成している。もう1つは他店に事例共有やアドバイスを積極的にする店舗。『チームでの目標達成』にコミットしている人には自然と情報が集まってくるので、結果的には目標達成につながるようだ」
――参加者は他店舗とのノウハウ共有に抵抗感を抱かないのか。
「チームビルディングを大事にしていることが大きいのではないか。例えば、1回目の講座はノウハウを学ぶ以前に『お互いどんな人なのかを知る』ことに重点を置いている。こうした店舗同士の交流が、ノウハウを教え合うことへの抵抗を無くしているのではないか」
――ネーションズが楽天市場における新機能や新サービスの理解を深めるきっかけにもなっているのでは。
「当社が店舗同士のコミュニティーを大切にしている理由でもある。当社が大事にしていることを大事にしてくれたり、新しいことを始めようとしたときに一緒に事例を作ってくれる。味方がたくさんいるような感覚」
「一方で、当社の社員が伝えられることには限界があると思っている。例えば、新しい施策に対して不安を抱く店舗は少なくないが、実績のあるリーダー店舗から、施策の狙いや上手な活用法が聞くことで、よりスムーズに情報が伝わる。楽天のフィルターを通さない状態で情報を受け取れることへのメリットは大きい」
――講座を卒業した店舗へのフォローは。
「卒業後のコミュニケーションは全て店舗に丸投げするということはなく、当社でも『同走会』という勉強会を全国で開催している。当社がきっかけでできた6000店舗のコミュニティーに対し、当社としてもしっかりと向き合っていきたい。同走会はネーションズ修了店舗であれば参加可能だ」
「地域に根ざしたコミュニティーも大事だと思っている。ネーションズのチームを超えて、同じ県に住んでいる担当者同士、対面のつながりを作ることも考えたい」
――ネーションズが楽天市場の流通額底上げにつながっている実感は。
「それ以上に、楽天市場に対して前向きに取り組んでいる店舗が増えた感触がある」
――今後の10年に向けて。
「新しい仲間を作ることに必死に取り組んできた10年間だが、気づけば本来の『短期集中プログラム』ではなく、卒業した店舗のコミュニティーを『ネーションズ』と呼ぶようになってきている。なので、そうした店舗が楽天市場で頑張り続けるためのモチベーションや関係性を維持することにコミットしなければならない。もちろん、新規店舗も増やしたい。『1人で悩んでいる』『何をすればいいか分からない』という店舗が楽天市場から無くなるまで、しっかりとサービスを届けていきたい」
「トピックとしては、やはり生成AIは重要だ。今年、ネーションズに『AIコミュニティー』を作った。AIに明るい店舗がエバンジェリストとなり、オンラインで勉強するというものだ。店舗を主役にした『AIハッカソン』もリアルで開催したいと思っている」
「さらには、経営や事業承継などについてもアドバイスし合えるコミュニティーへと進化させたい。最終的には、楽天市場やECを超えて、ビジネス全体、さらには参加者の人生をサポートし、皆で支え合うコミュニティーにしていければ」