〈土井CEOが語る「NELL」の現在地〉 商品力とマーケに強み、リカバリーウェアも開発

2026年10月28日 17:53

2026年10月28日 17:53

 D2Cの睡眠ブランド「NELL(ネル)」を手がけるMorght(モート)は、商品力やマーケティング力を武器に国内のマットレス市場で存在感を高めている。今年9月中旬には急成長するリカバリーウェア市場に参入したばかりだ。「マットレス市場での経験がリカバリーウェアにも活かせる」と語る土井皓貴CEOに、足もとの事業環境や「ネル」ブランドの現在地などについて聞いた。


1029113131_6ae2b003b6bcf.jpg ――マットレスの市場環境は。

 「国内のマットレス市場は3000億円程度あると言われていて、そのうち低価格帯が50~60%、中価格帯が30~40%を占め、高価格帯は10%あるかないかくらい。当社は中高価格帯のマットレスを販売している。当社の中価格帯の商品を購入する人は、現状は低価格帯の商品を使っている人が多い。新卒やひとり暮らしのタイミングで低価格帯のマットレスを買ってから10年くらい経ち、マットレスの寿命や引越しのタイミング、身体の不調などさまざま要因があって中価格帯の商品に買い替える時期なのだと思う」

 ――身体の不調から買い替えるニーズもありそうだ。

 「安価で柔らかいマットレスを使っていて寝返りがしづらく、腰痛や肩こりが辛くなり、それらを少しでも解消できるマットレスを買いたいと思って、『ネル』の寝返りに特化した高反発マットレスを選ぶというユーザーも多いと思うし、商品開発の時点でそういうシナリオを考えて設計していた」

 ――顧客層もそれくらいの年代が多いのか。

 「実施する施策、起用するインフルエンサーやテレビCMを放映するかどうかなどで響く層が大きく変わるが、25歳~39歳が75%を占め、男女比はやや女性が多い程度だ」

 ――D2Cブランドの優位性は。

 「三つあって、一つは顧客獲得単価が安く、商品価格に占める広告宣伝費が競合と比べて低いため価格メリットが生まれる。二つめに、『ネル』のマットレスは圧縮し梱包して届けるので、大手と比べて配送運賃を10分の1くらいに抑えることができる。三つめは商品を直接消費者に届けることで、家具屋や量販店に販売代理店フィーを払わずに商売ができる。そうした企業努力による価格優位性でECでも買ってもらえる」

 ――オフラインの顧客接点については。

 「ECだけで伸び続けてきたが、一定の規模感になり、お客様から実際に商品を触ってみたいというニーズも増えているので、8月21日~11月16日までの期間、渋谷ヒカリエ内シンクスにポップアップショップを展開し、マットレスなどの寝装品を半個室空間で最大30分間試すことができる『ウトウトルーム』を設置し、じっくり体験できる場を設けた」

 「これまでも5日間~1週間程度の短期間でポップアップを展開したことはある。ふらっと来店したというよりも、ずっと『ネル』を検討していた人が商品を体験して買ってくれるという傾向が強く、購買率の高さは想定以上で手応えを感じている。ただ、短期間のポップアップの話なので今後、常設の直営店を広げる判断をどこかのタイミングでするのであれば、長期でポップアップを開催してどれくらいの売り上げが作れるのかが重要になるので、渋谷ヒカリエではそこを確かめたい」

 ――「ネル」のマットレスを販売してから6年が経つが、これまでの成果は。

 「『ネル』のマットレスは2020年1月に着想を得て、その年の10月に販売を開始するという、すごく早いスピードで開発し、さらに黒字化まで持って行けたことは大きな成果だ。マットレスのD2C市場は当社とあと1、2社くらいでほとんどのシェアを獲得している。毎年のように新規参入はあるが、1~2年で撤退するケースが多く、マットレスの製品としてもマーケティングとしても強固な状態が築けていることに自信を持っている」

 「また、当社製品はノットアホテルさんやドーミーインさん、ホテルニューオータニさんといった新興系から老舗のホテルにも選ばれているし、ビジネスインフルエンサーの方などにも使って頂いていて、『ネル』ブランドの期待値を高めた上で、それ以上の価値を提供するということができ始めている」

 ――今年9月にはピップと一般医療機器のリカバリーウェアを共同開発した。

 「リカバリーウェア市場は非常に伸びているマーケットで、ワークマンさんをはじめとする有力企業が出そろったタイミングだからこそ、後出しじゃんけんで勝ちに行ける。『ネル』ブランドの信用力を使って参入するには絶好の機会だと思う。『ネル』のリカバリーウェアラインとして『SOON(スーン)』の名称で展開する」

 ――低価格ブランドも増えてきたが、住み分けできそうか。

 「高価格帯のリカバリーウェアを展開するブランドの購入者はリピーターの比率が多く、その中にはギフト用の購入も含まれている。低価格帯のリカバリーウェアはプレゼント用としては若干合わないし、着用して価値を感じてもらうことで2回目の購入につながるので、ピップさんとのタッグは力強いし、住み分けはできると思う」

 「また、急成長している市場だからこそ、新たに生まれるペインもあるだろうし、ユーザーの目も肥えてくるので、より求めるものがクリアになってくるはずで、まさにマットレス市場で当社が経験し、応えてきたことと重なる」

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