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【ジュンの中嶋賢治取締役執行役員に聞く EC強化策とOMO戦略の現状は?㊤】 チャット接客で優位性発揮 期待以上の顧客体験を提供

2022年12月 1日 11:00

 ジュンは、自社ECの顧客体験を実店舗に近づける取り組みの一環としてチャット接客を強化しており、チャット利用者の満足度は高いようだ。また、商品欠品時にリアル店舗から直接、購入者に配送するマイクロフルフィルメントシステムの本格運用に乗り出すなどOMO戦略も推進している。EC事業統括情報システム室ロジスティクス部の中嶋賢治取締役執行役員に、自社ECの強化策やOMO戦略の現状を聞いた。


 







 ――アパレル各社のEC売り上げはコロナ1年目に急伸した反動もあって、今期は成長曲線が緩やかだ。

 「当社も同じで、EC売上高は2021年9月期の前年比25%増に対して22年9月期は3%増だった。ただ、売り方を変えたことで営業利益は前年から22%伸びた。前々期はコロナ1年目の在庫問題があり、少なからず割引クーポンの配布やタイムセールなども含めて在庫を整理せざるを得ない状況だったが、前期はリアル店舗と同様にECもプロパー販売にこだわったことで利益面は改善した」

 ――EC施策も変化した。

 「オフ率で販売する施策は控え、商品訴求の部分を強化した。ECチャネルは自社ECと『ゾゾタウン』『楽天ファッション』で大半を占めているが、外部モールについてもクーポン施策はかなり絞った。EC化率は前年比微減の34%で、自社ECの構成比は40%程度だった」

 ――20年9月にコスメやライフスタイル商材を扱う「ライフアンドビューティー バイ ジュンオンライン」を新設した。

 「コロナ禍でお客様の消費行動の変化を見越してスタートした業態だ。『ファッション=アパレル』ではない。当社ではお客様のニーズを注視しながら、コスメやスポーツ、インテリア雑貨、飲食などをいかにファッション領域ととらえて事業展開するかを大事にしている。力を注いでいるし、ECチャネルもすごく伸びている」

 ――同サイトが伸びている背景は。

 「ライフスタイルの高度化に伴って、モノの購入の仕方がアパレル偏重型ではなくなったのだと思う。服は新品とユーズドとを組み合わせたりしながら、工夫して着回しを楽しむようになっている。一方で、自宅で過ごすときの香りやインテリアなどをリッチにすることで、心地の良い生活を送りたいというニーズが高まっていると感じる」

 ――衣料品のEC化率は高まってきたが、フレグランスなどはECチャネルと馴染むのか。

 「ECに馴染むのか少し心配だったが、香水やお香などもしっかり売れている。ルームフレグランスなどは頻繁に買うものではないと思っていたが、意外に購入率が高い」

 ――アパレルとそれ以外の商品を買い回りしているのか。

 「『ライフアンドビューティー』は目的買いが多い。欲しい商品がどこにあるのかを調べてから訪問するお客様が多い印象だ。当社で扱うアイテムはどこにでもあるような商材ではなく、比較的販路が絞られているので、ECモールと比べられることも少ない。利益面への貢献度はこれからが、成長の芽として期待できる領域だ」

 ――コロナ禍でEC利用が定着してきた。

 「今までリアル店舗しか体験されてなかったお客様がECの利便性などに気づいて、リアルとECのどちらで買ってもいいと感じているのではないか」

 ――この2年間でECに慣れていない顧客が訪れても不安を感じないようにサービスや機能面を磨いてきた。

 「とくにチャットサービスを導入してから、『この写真では分からない』とか、『このキャプションでは伝わらない』といったご意見が毎日上がってくるので、その日のうちにサイトに反映させるという取り組みが定着しているし、そのスピード感を大事にしている」

 ――チャットもコロナ禍の早いタイミングで導入した。

 「最初に導入したシステムから『チャネルトーク』に変え、さらにLINE連携することで、LINE公式アカウントに届くリアルタイムのお問い合わせも『チャネルトーク』で管理できるようになった」

 「旧チャットシステムのときはボットをまったく使わずに人だけで運用していたが、今はCS系のお問い合わせはボットが対応し、商品に対するお問い合わせはスタッフが回答している。チャットチームには元販売スタッフなど15人が在籍しているが、チャットを介した問い合わせが増えていて、少し増やす必要も出てきた」


 ――問い合わせ内容については。

 「それはリアル店舗と同じだ。サイズ感や全身のバランスの問題などが多く、『私の身長だとどちらのサイズがいいか』とか、『この色のボトムに合わせるならどちらのトップスがいいか』といったお問い合わせがくる」

 「そうしたお悩みに対し、チャットではテキストだけでなく、画像を付けて回答している。イメージしやすいように通販サイトの商品画像を切り抜いてコラージュするなど、お客様ごとにパーソナライズしている。お客様も『そこまでしてくれるの』とびっくりされることが多く、ほかのアパレル企業と比べても優位性の高いチャットサービスになっていると思う」


 ――チャット接客の満足度が85%と非常に高い。

 「お客様のお悩みを解消することについては、かなり高い水準にあると思うが、これからやりたいのは、お客様が期待されている以上の提案をすることだ。リアル店舗のように、お客様の好みの傾向などを十分に分かった上で、販売スタッフの感性を反映させた提案をしていきたい。それができれば、リアルであろうがECであろうが、顧客体験の差はなくなっていく」

 ――販売経験の豊富なスタッフがチャット担当をしている強みが生きてくる。

 「その通りで、結局、顧客満足を得るにはシステムよりも『人』が大事。当社が一番やらなければいけないのは、『人』のレベルを落とさないことで、商品情報の吸収など日々のトレーニングを積み重ねることだ。リアル店舗のスタッフであればひとつのブランドに精通していればいいが、チャットスタッフは自社ECで取り扱うすべてのブランドが対象となるので、吸収すべき情報量はかなり多い」

 「問い合わせ件数が増える中で、チャット接客の質と量を両立していけば、他社ブランドや外部ECモールに対する差別化要素になるのではないか」(つづく)


 
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