大丸松坂屋百貨店は、大丸東京店9階で展開する複合型体験ストア「明日見世(あすみせ)」が、来店客の本音を聞き出す〝接客力〟を武器に順調に成長しているようだ。10月21日にはAIも活用した出店ブランド向けの新サービス「明日見世インサイト」の提供を始め、ブランドの現在地と次の一手を可視化できるようにした。同社の林直孝執行役員ITデジタル本部DX推進部長(写真左)と和田房恵プロジェクトマネジャーに足もとの事業環境や次の打ち手などを聞いた。
――数年前に注目を集めた国内のショールーミングストア、売らないお店が相次いでクローズしている。
林「売らないお店、体験型ストアと言っても、『明日見世』は接客にすごく価値を置いていることが成長している理由だと思う。当社は〝価値共創リテーラー〟を目指している。『明日見世』の価値はお客様と商品を出品する取引先をつなぐことで、お客様が商品の価値を認めたり、改善ポイントを指摘したりすることで、出品ブランドの気づきになり、商品がより良いものになって価値が高まっていく。そのためには接客力が大切で、アンバサダーと呼んでいる接客スタッフの能力向上に継続して取り組んできたことが『明日見世』の特徴だし、差別化につながったと思う」
「あとは、店の環境が大事だと改めて感じている。お客様から本音を引き出すのは難易度が高く、お客様自身に時間的な余裕や、商品を手に取って楽しむモチベーションがある程度ないと難しくて、2年前にフロアを9階に移転した意味もそこにある。ゆったりしたスペースを設け、カフェも併設していて、お茶を楽しむくらい時間のあるお客様が商品に興味を持ち、手に取ってもらえるところから接客をスタートできること、体験してもらいやすい環境に配慮した店作りができたことが大きい」
――取り扱い商材で多いのは。
和田「商品カテゴリーとしては、ビューティー系や、寝具などを含むインテリア、雑貨・ライフスタイル系が多い。例えば、独自の成分を使っていたり、オリジナルの開発技術を採用していたりと、しっかり説明をしないと分かりにくい商品、ブランドとの相性が良いと感じる。D2Cブランドも多いし、元々toB向けの企業がtoC向けのビジネスを始めるときのトライアルの場としての利用もけっこうある」
――3カ月ごとに商品が入れ替わるので、自分たちの販促施策に合わせて1週間だけ利用したいなどのニーズには合わない。
和田「短期的に出品したいという要望はあるが、短期間では十分なデータがとれないし、ECと違って割引をすることで興味を持ってもらうタイプの店ではないので、3カ月単位での出品をお願いしている」
――「明日見世」の業績については。
林「『明日見世』の業績は非公開だが、4階で展開していたときに検証を終え、事業としてしっかり育てるために9階に移転・拡張した。事業としては年次で計画を立てているが、毎年順調に計画をクリアし、会社としての期待値を超えている」
――新たに「明日見世インサイト」の提供を開始した。
和田「店頭のAIカメラで把握する来店・顧客分析と、マーケティングスキルを持つアンバサダーが記録するお客様の声をかけ合わせることで、商品が『選ばれる理由』『見送られる理由』といった評価要因、ブランドの『現在地』や『勝ち筋』『改善ポイント』を可視化するマーケティング支援サービスになる。ECやポップアップストアでは見えにくい、購入前の迷いや購入意欲が変わるきっかけまでを捉えられるのが特徴で、〝売る〟の構造を明らかにし、ブランドの意思決定につながるデータとして、ダッシュボードとCSV形式で提供する」
林「『明日見世』が重視している接客にAIの活用も加わるが、AIがメインになるのではなく、人の接客をさらに拡張するのをAIがうまくサポートするような機能になる」
――足もとの課題感などは。
林「『明日見世インサイト』のサービスを提供するのに当たって各出店プランの料金を値上げしているので、その分の売り上げ成長をクリアしていく必要がある。もう一つは、いまの『明日見世』の形態をすべての大丸・松坂屋に導入できるとは思っていない。大丸東京店の立地や9階のスペースも含めて、このフォーマットが必ずしも他店にはまるわけではない。事業の方向性として決まっているわけではないが、商品の売れる理由、売れない理由が分かれば、次の打ち手として、例えば商品のパッケージデザインに課題があるとしたら、そこをサポートできるチームが百貨店内にある。また、出品ブランドの成長には次の店舗出店が必要となった場合には、店を出すときの店舗デザインなどについてもお手伝いできることがあるので、必ずしも百貨店という店舗フォーマットの中に納まらなくても出店ブランドの成長に貢献できると思う」
大丸松坂屋百貨店は、大丸東京店9階で展開する複合型体験ストア「明日見世(あすみせ)」が、来店客の本音を聞き出す〝接客力〟を武器に順調に成長しているようだ。10月21日にはAIも活用した出店ブランド向けの新サービス「明日見世インサイト」の提供を始め、ブランドの現在地と次の一手を可視化できるようにした。同社の林直孝執行役員ITデジタル本部DX推進部長(写真左)と和田房恵プロジェクトマネジャーに足もとの事業環境や次の打ち手などを聞いた。
林「売らないお店、体験型ストアと言っても、『明日見世』は接客にすごく価値を置いていることが成長している理由だと思う。当社は〝価値共創リテーラー〟を目指している。『明日見世』の価値はお客様と商品を出品する取引先をつなぐことで、お客様が商品の価値を認めたり、改善ポイントを指摘したりすることで、出品ブランドの気づきになり、商品がより良いものになって価値が高まっていく。そのためには接客力が大切で、アンバサダーと呼んでいる接客スタッフの能力向上に継続して取り組んできたことが『明日見世』の特徴だし、差別化につながったと思う」
「あとは、店の環境が大事だと改めて感じている。お客様から本音を引き出すのは難易度が高く、お客様自身に時間的な余裕や、商品を手に取って楽しむモチベーションがある程度ないと難しくて、2年前にフロアを9階に移転した意味もそこにある。ゆったりしたスペースを設け、カフェも併設していて、お茶を楽しむくらい時間のあるお客様が商品に興味を持ち、手に取ってもらえるところから接客をスタートできること、体験してもらいやすい環境に配慮した店作りができたことが大きい」
――取り扱い商材で多いのは。
和田「商品カテゴリーとしては、ビューティー系や、寝具などを含むインテリア、雑貨・ライフスタイル系が多い。例えば、独自の成分を使っていたり、オリジナルの開発技術を採用していたりと、しっかり説明をしないと分かりにくい商品、ブランドとの相性が良いと感じる。D2Cブランドも多いし、元々toB向けの企業がtoC向けのビジネスを始めるときのトライアルの場としての利用もけっこうある」
――3カ月ごとに商品が入れ替わるので、自分たちの販促施策に合わせて1週間だけ利用したいなどのニーズには合わない。
和田「短期的に出品したいという要望はあるが、短期間では十分なデータがとれないし、ECと違って割引をすることで興味を持ってもらうタイプの店ではないので、3カ月単位での出品をお願いしている」
――「明日見世」の業績については。
林「『明日見世』の業績は非公開だが、4階で展開していたときに検証を終え、事業としてしっかり育てるために9階に移転・拡張した。事業としては年次で計画を立てているが、毎年順調に計画をクリアし、会社としての期待値を超えている」
――新たに「明日見世インサイト」の提供を開始した。
和田「店頭のAIカメラで把握する来店・顧客分析と、マーケティングスキルを持つアンバサダーが記録するお客様の声をかけ合わせることで、商品が『選ばれる理由』『見送られる理由』といった評価要因、ブランドの『現在地』や『勝ち筋』『改善ポイント』を可視化するマーケティング支援サービスになる。ECやポップアップストアでは見えにくい、購入前の迷いや購入意欲が変わるきっかけまでを捉えられるのが特徴で、〝売る〟の構造を明らかにし、ブランドの意思決定につながるデータとして、ダッシュボードとCSV形式で提供する」
林「『明日見世』が重視している接客にAIの活用も加わるが、AIがメインになるのではなく、人の接客をさらに拡張するのをAIがうまくサポートするような機能になる」
――足もとの課題感などは。
林「『明日見世インサイト』のサービスを提供するのに当たって各出店プランの料金を値上げしているので、その分の売り上げ成長をクリアしていく必要がある。もう一つは、いまの『明日見世』の形態をすべての大丸・松坂屋に導入できるとは思っていない。大丸東京店の立地や9階のスペースも含めて、このフォーマットが必ずしも他店にはまるわけではない。事業の方向性として決まっているわけではないが、商品の売れる理由、売れない理由が分かれば、次の打ち手として、例えば商品のパッケージデザインに課題があるとしたら、そこをサポートできるチームが百貨店内にある。また、出品ブランドの成長には次の店舗出店が必要となった場合には、店を出すときの店舗デザインなどについてもお手伝いできることがあるので、必ずしも百貨店という店舗フォーマットの中に納まらなくても出店ブランドの成長に貢献できると思う」